EPISODE 59* ページ17
【宇髄side】
宇髄「あ゛ぁぁー!描けねぇ!」
途中まで描いていたキャンバスにベチャッと絵の具を付ける。
宇髄「はぁー。」
宇髄しかいない準備室にため息がこぼれる。
宇髄(なんでこんに描けねぇんだ?)
新しいキャンバスを準備室の奥から取り出す。
宇髄「また1から描くか…。」
もう何枚描いたか分からない。描いた絵はすべて納得いかないものだった。
筆に絵の具をのせて、目の前の真っ白なキャンバスにつけようとしたその瞬間。
美術室の近くで何やら騒ぎ声が聞こえる。
宇髄「なんだ?」
持っていた筆を置いて、準備室を出る。
何人かの生徒が前を通ったので尋ねてみる。
宇髄「おい、なんの騒ぎだ?」
「あ、宇髄先生ー。
なんか俺達もよくわかんねぇけど、二年の雪那Aが傘間莉奈を刺したとかどーとか。」
宇髄(…は?)
一瞬この生徒たちが何を言っているのか分からなかった。
「ありがとよ」と一言伝えて、人が群がっている所に走る。
・
そのとき、宇髄が見た光景は
腕から血が流れている傘間を保健室へ運ぶもの。
と、
女性の教師に腕を引かれ、なんの抵抗もせずに後ろをついて行く雪那。
近ずきたいのに生徒が野次馬となり、全く近ずけない。
すると、下を向いて歩いていた雪那がふと顔を上げた。
特徴的な瞳と目が合う。
その瞬間、頭に激痛。
宇髄「…っ! あん時と同じ!」
脳裏に悲しそうな顔をして今にも瞳から涙がこぼれ落ちそうな少女が浮かび上がる。
宇髄「!!」
宇髄はその場を後にして元来た道を駆け抜ける。
・
無造作にドアを閉めて、再びキャンバスへと向かう。
真っ白だったキャンバスに色がのっていく。
宇髄(今度こそ描けるか…?)
雪那が先程、教師に連れていかれていることなど、この時の宇髄の頭からはすっかり抜けていた。
ただ、筆を走らせるのみ。
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彩(プロフ) - とてもおもしろかったです!! (2021年1月11日 18時) (レス) id: 95df5f81b7 (このIDを非表示/違反報告)
彩(プロフ) - とても面白いです!!で,すいません、私の理解力がないだけなんですが,足立って誰ですか?この後にその話が出ていたらすいません、どうしても気になってしまいましてこれからも頑張ってください!! (2021年1月11日 17時) (レス) id: 95df5f81b7 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとー。(プロフ) - りなおさん» りなおさんこんにちは!コメントありがとうございます!感動して頂けたみたいで良かったです(*´˘`*)短編集の方もよろしくお願いします!! (2020年9月7日 8時) (レス) id: f2066b104c (このIDを非表示/違反報告)
りなお(プロフ) - 一気に読ませていただきました!ラストは私まで涙が溢れて止まりませんでした(TT)素敵な作品をありがとうございます!短編の方はこれから読ませていただきます!楽しみです! (2020年9月7日 3時) (レス) id: 712037cba2 (このIDを非表示/違反報告)
こんぺいとー。(プロフ) - Miraiさん» ホントですか!?よかったです!! (2020年2月11日 16時) (レス) id: f2066b104c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こんぺいとー。 | 作成日時:2019年12月14日 2時