雪が嫌いだった宇髄天元が雪を好きになった理由。3

EPISODE 113 ページ19

【Aside】





妓夫太郎の鎌がAの腹部へと刺さる。






宇髄｢Aッ!!!｣





何やってんだ馬鹿野郎。刀も持たないで…。




あの時血鬼術をくらってなかったら刀も握れてたし、宇髄さんも助けれて、自分も無事だったろうに。






画面の向こう中の自分に説教をするように話しかける。






あぁ、ほら、また宇髄さんに迷惑かけちゃってるよ……。





何やってんだよ私。





そんなことは思うけど、正直後悔はしてない。

宇髄の命を守ることができたし、その後しっかり鬼の頚も斬ることができたから。




はっきり言って、任務で何らかの犠牲は出るとわかってた。





そんなこと考えている間も映像はどんどん進んでいく。






そして、ある場面を見て、Aは目を見開く。






え、宇髄さんが泣いてる……。






Aは宇髄に拾われてから宇髄の泣いている所は一度も見たことがなかった。





私のために泣いてくれてるの…？





こんな奴のために？ 最後の最後まで迷惑しかかけてないのに？






あぁ、やめてよ。宇髄さん。そんなことされちゃったら私、潔く成仏できないよ…。






そんなことされちゃったら、









もっと好きな気持ちが大きくなっちゃうよ…。






そう小さく口にしてAの頬に一筋の涙が流れた時、真っ暗だったその場所がだんだんと明るくなっていく。





＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿


ぼやける視界を何回か瞬きをしてピントを合わせる。




そして、何やら声が聞こえてくる。

初めは小さかったが、その声も少しずつハッキリとしてきた。





宇髄｢A……？｣





『ぅ、ず……い…さ……』





周りの状況をゆっくりと理解していく。






ここは多分蝶屋敷で、寝ているベッドの横には宇髄がいた。






そして、その周りは柱の皆と炭治郎たち。
宇髄の嫁もいる。






起き上がろうとするけど、体に力をいれることすらできない。






皆が自分の名前を呼んでいる。





｢雪那｣って、｢A｣って。






『雪那ですよ。』、『Aですよ。』って笑顔で応えたいのに口がなかなか動いてくれない。





なんで、みんな私のために泣いてくれるの…？

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