7. ページ7
.
泣きじゃくった私をずっと慰めてくださった。
だいぶすっきりした。
「すみませ…。」
「謝らない！
友達に話聞いてもらったくらいだと思って。」
あんまりよそよそしいと俺悲しいからって
冗談めかして笑って下さった。
その笑顔に幾分か気持ちが楽になった。
時間までは楽しい話をしようって言って
幼馴染さんのお話をたくさん聞かせて下さった。
「私も幼馴染、いるんですよ。同じ感じの。」
「病院まで同じってやつ？」
「そうですそうです。」
「わ、いいなー。
Aちゃんの幼馴染が羨ましい。
俺ずっと喋ってたいもん。」
そこから私のお話も。
私の幼馴染はちょっと意地悪で。
いい子なのは分かってるし、
なんだかんだ大好きだった。
…遠くに転校してしまったから
もう何年も会っていないけれど。
「会えたら連れてきて」って渡辺さんが笑う。
「男の子ですよ」って伝えたけれど、
「喋ってみたいから」と。
…もし本当に会えたら一緒にお話に来ようと
思っている自分がいることに驚いた。
私は、もう一度この店に来ようと思っているのか。
.
談笑していたら、急に扉が開いて飛び上がった。
私を庇うように前に立ってくれた渡辺さんに隠れて
誰が入ってきたのかは見えない。
「翔太。流石に長い。」
「うそ、もうそんなに喋ってた…？」
「珍しいとは思いながら見に来た。」
「ごめん。ありがと涼太。」
あの声は、昨日のロイヤルな…舘様。
そっと顔を出したら優しい笑み。
「この部屋、使える時間が決まっててね。
次の予約があるから。」
「あ、すみません…。」
「ううん。今回は翔太のせいだから。」
ちょっとばつが悪そうな顔で渡辺さんが
舘様を指した。
「さっきからずっと言ってた、幼馴染。」
「……えええ！？」
「そんなに驚くこともないと思うんだけど…。」
なんだかイメージが違い過ぎて。
そもそも渡辺さんと舘様が同い年に見えない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 40人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：沙羅 | 作成日時：2021年3月2日 17時
