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｢まあ悪いやつはおらんけど…。｣
｢あんなとこにAちゃんを
行かせたくない、と。｣
｢だってあの樹だよ〜？｣
私を他所にわいわいと話し始めた3人。
話に入っていけないので
ちびちびとサワーを飲んでいた。
するとこちらからは暗くて見えなかった
奥の席から人が歩いてきた。
｢3人とも。困っちゃってるよ。｣
｢あれ、舘様！？｣
｢いつからいたん…｣
｢最初から聞いてたよ。｣
また、知り合いの方みたい。
すごく雰囲気が、ロイヤル…。
｢馴染みのない場所かもしれないけれど、
あそこの子たちはみんないい子だから。
おれも賛成だな。｣
｢や、舘様まで…｣
｢1回一緒に行ってみたら？
決めるのは彼女なんだから。｣
森本君からの呼び方｢舘様｣なんだよね…。
ほんとにお偉いさんなのかと少し緊張する。
私は、どこに連れて行かれるんだろう。
｢ホストとかってさ、興味ある？｣
｢…ホスト、ですか。｣
｢そう。ホスト。｣
舘様？に言われた言葉が
飲み込めず、オウム返しになってしまった。
ホスト…キラキラした男の人たちが
女の子にキャーキャー言われる…
くらいしかイメージがない。
つまりはいいイメージなんてない。
｢彼らに会えばホストのイメージは変わる。
だって向井と森本が信用してる子だから。
それに、向井と森本の友達を泣かせた輩は
おれたちも黙ってられないし。｣
｢…貴方もホストなんですか？｣
｢いや。俺は裏方。
雇ってるホストは何人もいるんだけど、
看板ホストは向井と森本も知り合いなの。｣
私と向井君と森本君。
それぞれの波長があるから一緒にいる。
仲良くない子とわざわざ絡むタイプじゃないから。
そんな彼らの仲良しさんと言うなら
悪い人ではない気がする。
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作者名：沙羅 | 作成日時：2021年3月2日 17時
