3-11 え、 ページ35
「……嫌なわけがないでしょう？ ピース様」
顔を上げたAさんは、別人みたいやった。
窓からさす陽が、さっきとは全く違うAさんの表情を照らしている。
さっきの、照れてふにゃふにゃになってたAさんはどこいってん。
緊張で上擦っていた声は、低く落ち着いているし、緩みまくっていた表情が嘘みたいに、穏やかな微笑をたたえている。
変だ。
いや、変になったというよりはいつものAさんに戻ったような感じもする。
急に変わった雰囲気に驚いていると、差し出したままだった手を取られる。
そのままAさんの右手が背中に回され、気づけばダンスの体勢になっていた。
「オスマンくん、手拍子を」
「は、はい」
オスマンさんも相当びっくりしたのか、少し呆然としていたらしい。
「じゃあ、いくよ」
少しホッとしたのも束の間、Aさんにリードされるまま踊り始めた。
部屋にオスマンさんの手拍子が響く。
練習の時と同じようにステップを踏んで、時には回って。
視界の端で髪が揺れたり、回るとドレスが広がってちょっと動きにくかったり、案外違いもあるんやな。
本番前にドレスを着て練習できてよかった。
「上手だね」
『……す』
気になるのは、Aさんがやたら俺を褒めること。
嬉しいけどなんかむず痒くて、ものすごく変な感じ。
「いいよ」
「素敵」
「綺麗だね」
踊りながら見上げると、微笑まれるし。
やっぱりさっきとは全然違う。
あの取り乱しようはなんやったん！？
ってなるくらい、落ち着いている。
なんなら大人の余裕みたいなのさえ感じるくらいだ。
もしかして、さっきのは俺の気分を良くするための演技か？
いや、あの反応はマジやと思うけど……
頭の中でぐるぐる考えていると、いつのまにかダンスが終わっていた。
内心驚きつつお辞儀をすると、オスマンさんとエミさんが拍手してくれる。
「お二人とも素敵でした」
「今まででいっちばん良かったよ！！！」
あれだけ厳しかったオスマンさんも、褒めてくれた。
ドレスのおかげもあるのだろうが、素直にお礼を言っておく。
『ども』
「よかったね」
すりっと頬を親指で撫でられた。
Aさんは俺を見つめながら優しく微笑む。
やっぱりなんかむず痒くて、目を逸らした。
『……さっきと全然ちゃうやん』
「え？」
Aさんは目をぱちぱちと動かした。
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っっっっぽ(プロフ) - 名無しのサメさん» そう言っていただけて凄く嬉しいです！ 更新頑張りますね！ (2022年10月20日 17時) (
レス) id: b723e7a8aa (このIDを非表示/違反報告)
っっっっぽ(プロフ) - みずきさん» コメントありがとうございます！ 励みになります…… (2022年10月20日 17時) (レス) id: b723e7a8aa (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 夢主が良すぎる！この作品好きなので、更新頑張ってください！ (2022年10月16日 12時) (レス) @page30 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
みずき - っは…！ゆ、夢主イケメンすぎひんか…！？あ、応援してますぅ、更新頑張ってください！ (2022年10月10日 2時) (レス) @page27 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
っっっっぽ(プロフ) - さるさそーすさん» コメント頂いていたのに気づかずすみません！ 好みに刺さってよかったです……更新頑張ります！ (2022年9月22日 2時) (レス) @page2 id: b723e7a8aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：っっっっぽ | 作成日時：2022年7月22日 2時
