2-4 執事の仕事 ページ15
(You side)
「でも、まあちょっとしたケンカですよ。
ただのトラブルですから大丈夫！」
わかりやすい強がりだな。
俺を心配させないようにか、彼自身のプライドのためか。
『……君がそう言うなら、そういうことにしておこう』
過呼吸起こして「大丈夫」なわけないだろうに。
チーノくんを囲んでいたのは多分同期の子達だろう。
一緒にいるのを何度か目にしたことがある。
明日からの訓練が少し心配だ。
今回だけで終わればいいけれど……
「それより、夕飯食べ損なったのが辛いっすわー」
チーノくんは腹をさすりながら、笑っている。
『ああ、それなら』
トン、トン、トン
ドアがノックされる。
頼んだ通り、ちゃんと来てくれたみたいだ。
「え、どうぞ？」
チーノくんが答える。
「夕飯をお持ちしました」
扉を開いたのは燕尾服の男。
専属執事だ。
俺とは違う期の担当だけれど。
『ありがとう、届けてくれて』
「いえ、大丈夫です。それでは」
皿の乗ったトレーを受け取ると、男は一礼して去っていった。
トレーには湯気の上がるスープやステーキ、サラダやパンなんかがバランスよく並べられている。
彼はセンスがいい。
キョトンとしているチーノくんを座らせ、目の前のトレーから皿を並べた。
『さあ、夕飯にしよう。少し遅れてしまったけどね』
まずは彼の負ったストレスを軽減することが先決だ。
スプーンやフォークを並べながら、やや緊張した顔のチーノくんを見る。
チーノくんには本当に悪いことをしてしまった。
今日突然昇進を聞かされて、不安もあっただろうに。
追い打ちをかけるようにあんなことがあれば、少々繊細なチーノくんでなくとも落ち込んでしまうだろう。
原因は俺のミスだ。
ちゃんと説明したのか、シドたちに確認すべきだった。
同期との仲に問題はなかったはずだが、チーノくんも彼の同期も「昇進」という言葉の持つ輝きに目が眩んでしまったのだろう。
それほど「昇進」は軍人にとって大きな変化だ。
ちゃんとわかっていたはずだったが……俺もまだまだ未熟だな。
とにかく、今はチーノくんが少しでも快適に過ごせるようにしなければ。
それが俺の、専属執事の仕事だ。
ぴっと姿勢を正し、気を引き締めた。
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っっっっぽ(プロフ) - 名無しのサメさん» そう言っていただけて凄く嬉しいです！ 更新頑張りますね！ (2022年10月20日 17時) (
レス) id: b723e7a8aa (このIDを非表示/違反報告)
っっっっぽ(プロフ) - みずきさん» コメントありがとうございます！ 励みになります…… (2022年10月20日 17時) (レス) id: b723e7a8aa (このIDを非表示/違反報告)
名無しのサメ(プロフ) - 夢主が良すぎる！この作品好きなので、更新頑張ってください！ (2022年10月16日 12時) (レス) @page30 id: fed687ffc2 (このIDを非表示/違反報告)
みずき - っは…！ゆ、夢主イケメンすぎひんか…！？あ、応援してますぅ、更新頑張ってください！ (2022年10月10日 2時) (レス) @page27 id: 129e1b5429 (このIDを非表示/違反報告)
っっっっぽ(プロフ) - さるさそーすさん» コメント頂いていたのに気づかずすみません！ 好みに刺さってよかったです……更新頑張ります！ (2022年9月22日 2時) (レス) @page2 id: b723e7a8aa (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：っっっっぽ | 作成日時：2022年7月22日 2時
