思慕な花嫁 ページ5
*
「そのまんまの意味です」
凛とした声から告げられたのは
【生物兵器宣言】だった。
目の前にいるAちゃんという人物は半年後人間ではなくなるらしい。
今でもその薬は彼女の体をじわじわと蝕んでいるのだろうか。
「僕がいうんもなんやけどしんぺいさんとこつれってたらええんちゃう？
無理やったらくられ先生んとこでも全然治してくれるんやない？」
「くられ先生....新しい人が入ったんですね」
「A、彼はここにラボを置いているだけで本拠地はべつにある」
「とりあえず、明日Aはしんぺい神んとこに顔だしといで。ええな？」
わかりました。
そういう割には納得してへんのかな。
めちゃくちゃ腑に落ちてへん顔やもんな
「そろそろ日付をまたぐ、今日のところはお開きとしよう」
*ー*ー*ー
「お前本当に半年後に人間ではなくなるのか」
そう質問された。あの場において嘘を言っても意味ないでしょう。
「あれは本当です。私のみならず処刑できなかった時のためにとられた対策です」
そうか、悲しそうな表情で目を伏せるグルッペンさん。
ベットの中で向き合って話すのも何年ぶりだろうか。
「A」
顔を上げるとそのまま頬に手を添えられて軽く何度も確かめるように接吻をされた。
「俺は半年間でもお前がいるならこの先の人生なんとかなりそうだ」
では、おやすみ。良い夢をな
頭を撫でられて安心した私は彼の手を握ったまま眠りにおちた。
ー*ー*ー*
となりから静かな寝息が聞こえる。
人生を歩んできた大切な者。
頭を撫でた手を彼女の両手で握られてしまったために寝返りが打てない。
ちいさく頼もしい彼女を一度突き放してしまった罪は半年間では償えないだろう。
真っ暗な中ひさびさに人肌のすごさを実感した。
彼女の髪を片手で梳きゆっくりと撫でた
顔は見えないがそこにいるのはわかる。
たまらなく愛おしくなって髪、ひたい、頬にゆっくりと接吻した。
*
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作者名：そらそらおそら | 作成日時：2019年5月3日 1時
