【ダンボール戦機】許せる心【海道ジン】 (ページ10)

今日:7 hit、昨日:1 hit、合計:9,645 hit

第８話　記憶のクローゼット(置いてるだけ) ページ10

｢ひどい目にあった………｣

そう吐き捨てるように声をだした。歩きながらまだ少し痛む頭を手でさわってみる。……ジリジリていう感じで痛む。

どんだけ力強く私の頭を撫でたんだ。いや違うなあれは撫でたのではないな。抑えられただけだな、うん。

勝手に一人で納得して先ほどのレックスのチャンピオンのルールを一つ一つ思い出す。

レックスが言うには面白くするためのルールだとか。あれだな、例えるとサプライズにパイぶつけてみました！ていうノリなんだろう。

・自分がチャンピオンだと言うことは秘密にしてもばらしてもいい
・ばらしてもいいけどLBX は表に出さないこと
・LBX の調整をするときは別室ですること
・飽きて帰らないこと

大体こんな感じのルールだったと思う。最後は多分レックスの考慮だろう。

………ふっ、よく私の性格がわかってるじゃなえか！

私がチャンピオンだと言うことはばらしてもいい………でもねレックス。今から私が『私がチャンピオーン‼』と公表しても信じてくれないと思うの。最後には鼻で笑われておしまいだ。それされたら精神的に苦痛だから黙っとこう………。

大会のことを考えていたら人通りが通常よりもはるかに多い場所に出た。その人混みの中には一世代前の不良の格好をしてる人など色とりどりの格好の人がいた。いつものときとは違いだいぶ騒がしい。

その中には一回り小さい集団がいた。その集団は周りのいかつい空気をかわいい空気で相殺していた。

………あの集団は背格好からして先ほどの子達だろう。一緒にみたい。あの空気に囲まれたい。癒されたい。………だけどこれをかき分けながら進むのは非常に難しいだろう。

目の前にはいかつい集団がわんさかいる。この中に飛び込めるほどの勇気は私には備わっていない。

うーんと頭を抱えることはできないので手すりに腕を乗り掛かる。手すり、お前に私の体重を保つことができるか勝負だ。

不意に、下のフロアを見てみると………そしたら誰かとバチっと目があった。

その子はまたも髪型が個性的な子で服は全体的に黒い。私服にしてはかしこまった服を着ていた。

どこかであの子見たことあるような気がする。だけど私の記憶のクローゼットからは見つからない。多分そのクローゼットは中身すかすかなんだと思う。

うん？、と頭をひねっていると唐突に後ろから肩を押された。