第2話 忘れ物をする勇気 ページ4
机の上に置かれたビリッビリに破れた紙とペン。
そして朝ごはん。
ペンをどかして山折に折られた紙(みすぼらしい)を開きながら
ラップで包まれたパンを持つ
『急に仕事が入ったので朝ごはんを作っておきました。
今日の試合がんばれ!
by 凪』
女性特有の可愛らしい字で書かれた文字を見て皿にあるパンを丸ごとほおばる。
パンのフワフワした感触が口の中全体にいきわたる。
パンをやっと呑み込んでから、牛乳を一杯。
口をぬぐい、歯をざっとみがいてコートも着る、これでいつもの私になった。
男っぽい服、と友人に言われてしまったけど、男っぽい服だからってダサい訳じゃないよ!ただ単に服のセンスがあれであって………ダサい訳じゃないよ‼
無駄な言い訳を空気に言ったのでシーン、と無情にも響く。
やだ、なんか恥ずかしい。
そしてやっと玄関へ向かう。
ドアノブに手をのばしたーーーだが触れる直前にある事に気付いた。
「あ、忘れ物だ。」
レックスから絶対忘れるなと言っていたものを忘れるところだったわ。
まだ家に出てないし・・・セーフか?
ギシギシと階段が先ほどより激しくなりながらも足早にまた部屋に戻る。
忘れ物がないか?
CCM、財布、家の鍵、ペン、手帳、PC、ドライバー、武器ケース…うんあるわ。
おいてある鏡が私を映す。
前まで立ち鏡の中のもう一人の自分をみる。
梳いてないせいか髪はボサボサ…まあ時間がたてば大丈夫だ。
リボンが曲がって…見せる相手がいないのでこれも大丈夫。
忘れ物なし、身だしなみもオーケー(?)、最後に机の上のある小さな物体を手に取る。太陽の出ている方へと掲げる。自分の自信作のLBX に顔を緩める。
「忘れていこうとしてごめん
カグラ」
白と茶色のそのLBXは答えるように光った。
その時ピピッ小さくCCMが鳴る。
誰だと思いCCMをひらく、ある人の名前がでてくる
あ、と自分の口からこぼれる
『レックス』
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