・・・ ページ38
光side
水を摂っているつもりだったなんて、大嘘だ。
あの感覚は日に日にどんどんひどくなり、最近は一日に一回ほどしか水を飲まなくなっていた。
それで、脱水症になったのだろう。
・・・でも、あの症状は、水上さんがいると、少し和らぐ気がする。そして、体の輪郭が溶けてしまうような感覚と一緒にやってくる、切なさはなくなる。
・・・でも、もう手遅れなのを、私は知っている。
颯「光ちゃん、あのさ」
光「あの、水上さん」
私と水上さんの声が重なる。
颯「いいよ、先、光ちゃん」
光「あの、最後にわがままを一つだけいいですか？」
これを言わなきゃ、一生後悔する。私は反射的にそう思った。今日が水上さんと過ごせる、最後の日なのだから。
「それ俺の卒業のときのセリフじゃん」
水上さんは私の、『最後』と言う言葉には、何も触れなかった。きっと、そろそろ帰る時間だから、最後に、という意味だと思っているのだろう。
「水上さん、最後に・・・私の側にいてください」
「いいよ。俺始発で帰れば問題ないから」
水上さんは快く返事してくれた。
光「水上さんは・・・何ですか？」
颯「俺は・・・」
水上さんはポケットから何かを取りだした。
「これ、俺からのプレゼント」
水上さんが持っていたのは小さな箱だった。
「ありがとうございます」
私は箱を開けた。そこには一つのの指輪が入っていた。
「光ちゃん、結婚しない？」
・・・最後にこんなことを言うなんて、水上さんはずるい。これじゃあ、もっと水上さんと、一緒に居たくなってしまうじゃないですか・・・。
私の涙が指輪の箱に落ちる。
「ごめんなさい、水上さん、一緒に居たいけど・・・もう無理なんです」
私は洋服の腕をめくる。腕は半透明になっていて、その中は水で満たされていた。時々、気泡のようなものが上がってきて、水は私の輪郭を破ってこぼれてきそうだった。
「光ちゃん！？」
水上さんが目を見開く。
「・・・水上さんっ！」
気付いたときには、私は水上さんに抱きしめられていた。
「光ちゃんを絶対どこにも行かせないから」
水上さんの体温が伝わる。私はただ泣くことしかできなかった。
「・・・あっ！」
とうとう、私の人差し指の輪郭がぼやけ、水がこぼれ落ちた。
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はるかぜ(プロフ) - ariaさん» 大丈夫ですよ！こちらも楽しみにしてます^ - ^ (2020年5月2日 18時) (
レス) id: ccaf11a0bc (このIDを非表示/違反報告)
aria - はるかぜさん» すみません！ 水上さん×光さんのメインの小説の続きを思いついてしまい、そっちと同時に、はるかぜさんのリクを書こうと思っていたのですが、全部で五十章しか書けないので、はるかぜさんのリクは続編に書きます！ 本当にすみません！ でも絶対リクは書きます！ (2020年5月2日 17時) (レス) id: cbcd11e08b (このIDを非表示/違反報告)
aria - はるかぜさん» かしこまりました！ (2020年4月29日 12時) (レス) id: cbcd11e08b (このIDを非表示/違反報告)
はるかぜ(プロフ) - 水上さんと伊沢さんが取り合う感じで最終的にに結ばれるのは伊沢さんでお願いします。 (2020年4月29日 12時) (レス) id: ccaf11a0bc (このIDを非表示/違反報告)
aria - はるかぜさん» 光さんを伊沢さんと水上さんが取り合う感じでいいですか？ もしそうであれば、光さんがどちらと結ばれるかどうかを書いていただけることはできますか？(あったらでいいです) (2020年4月29日 11時) (レス) id: cbcd11e08b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aria | 作成日時：2020年4月19日 2時
