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満足するまで飲んで適当に喋って普通に家に帰る。
いい歳した男女が本当にそれで終われるというのもなかなか稀有な関係性であろう。
私が帰してるというのもあるが、伊沢もそういったことはきちんとしている。故に家にあげることに抵抗はないし、安心して飲めるというのもある。
「…あのさ、純粋に疑問なんだけど、なんでそんなに知識とかを嫌ってんの？」
そして伊沢はお酒が深くなると記憶が曖昧になるタイプだ。この質問は何回とされたかもう覚えていない。
その度に私の答えが微妙に変わってることにさえツッコまれないのだから、やはり伊沢の記憶は飛んでるのだろう。
『別に嫌ってる訳じゃないけど、クイズ番組に出るとかの仕事につかない限り無意味じゃん』
「ある程度知ってることが多ければ、色んな人と話が出来る。極端な話、英語を習って知ってるから簡単な英会話くらいなら出来るんだし」
『そんな実用的な事だったらいいけど、伊沢が持ってる知識は披露する場所があるから生きてるわけで。私が持ってたって死んでくだけのものだよ』
何事も報われる場所が無いと頑張れない、という一般論に自分の意見を乗せた。
でも本心は、そういう知識をひけらかすこと自体が嫌だし、そういう人をあまり見たくないと思っている。
クイズを仕事にしている伊沢には到底言えないけれど、私はクイズ番組が嫌いだ。
「死なさねぇよ。俺たちのとこでなら存分に生かせる。Aの知ってることは特に、俺たちじゃ手の出せないとこだし」
『ごめん、他当たって。私には無理』
いつもの質問、よくやる言い合いなのに、
今日は何か様子が違う。
今までは、こんなに説得してくるようなこと無かった。
そこまで私に固執する理由はなんだろう。
そして何より感じることは、
伊沢は、何に焦っているんだろう。
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浅間(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます〜！励みになります。更新滞らないように頑張ります…！よければ最後までお付き合い下さい！ (2020年9月6日 21時) (
レス) id: 2921f9dd64 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 文章も展開もとても好きです。更新を楽しみにしております…！ (2020年9月6日 14時) (レス) id: bc6f6fe928 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浅間 | 作成日時：2020年9月1日 20時
