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あれから数日経つも、特に心境の変化もなくいつもどおり日々を過ごしていた。
その中でただ1つ変わったことといえば、たまには研究進めなきゃなーと思って研究室に頻繁に顔を出すようになったことで、嫌でも伊沢の顔を思い出す羽目になったこと。
「よっ、A今日も来てたんか」
『げっ』
「げっ、じゃねーよ。一応4つ上の先輩やぞ」
『それはそうですけど…須貝さん見ると…ねぇ』
「そんな意識してんだったらさっさと伊沢に告白してくりゃいいのに」
『いやそういう意識じゃないですって』
数日前、久々に研究室に来たら真っ先に先輩の須貝さんに声をかけられて、「お前伊沢と知り合いだったんか」と色んなことを飛躍した言葉を放たれて一瞬フリーズした。
研究で多少お世話になっている須貝さんの口から、経済学部出身の伊沢の名前が出てくることに驚き、そして私と伊沢が知り合いだったのかと聞いてきたのに驚き、つまり須貝さんも伊沢と知り合いで伊沢が私のことを須貝さんに話した説が濃厚という事まで含んだ、
「お前伊沢と知り合いだったんか」
の破壊力。ヤヴァイ。
そんなこんなで伊沢と私の関係とか、伊沢の会社に誘われて断ったこととか色々、須貝さんには話したのだ。
その上で何故か須貝さんは、私が伊沢のことを好きだと勝手に思い込んでいて、没頭の言葉に至る。
「伊沢の諦めの悪さ、お前は知ってるんだろ？」
『…まぁ』
「なら、」
『興味ないことを始めるよりか、今やりたいこと続けた方がよっぽど身のためだと思うので』
「そりゃごもっともだけどさ。伊沢はなんの理由も無しにヘッドハンティングなんてしないだろうし、Aのこと考えての行動なんじゃないかなぁと、第三者目線からはそう見えるよ」
『…私のこと思ってとか、そういうの1番嫌なんで』
どうせ何もかもお見通しで、最終的に私が伊沢の会社に関わるって、根拠もない自信を持っているんだろう。
そんなやつの手のひらで転がらされたくなんかない。
大きな声では言えないけど、私は知識や雑学なんて多く持ってる必要はないと思っている。
だからこそ、伊沢の会社に関わるのは御免なのだ。
少し悲しそうな顔をした須貝さんを横目に、私はまたパソコンに向き直った。
この研究は特に将来に活かす気もないが、ずっと続けてきた事に結果が出ないのはすごく嫌だ。
だから熱中できるし、結果が出れば潔く辞められる。
そういう物にしか私は手が出せない。
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浅間(プロフ) - 匿名さん» コメントありがとうございます〜！励みになります。更新滞らないように頑張ります…！よければ最後までお付き合い下さい！ (2020年9月6日 21時) (
レス) id: 2921f9dd64 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 文章も展開もとても好きです。更新を楽しみにしております…！ (2020年9月6日 14時) (レス) id: bc6f6fe928 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：浅間 | 作成日時：2020年9月1日 20時
