Call me back again【短編集】

これは私の友達の話なんだけど -izw ページ45

*



好きな人が自分のことをどう思っているか知りたい。


と、思ったところで直接本人に聞くなんてこと出来ないわけで。
そんな時に決まって出てくるワードといえば、


「これは私の友達の話なんだけど」


私が読んだ漫画や小説で、これが本当に友達の話だったことなんて1度もない。
周知の通り、自分のことだというのを隠すための、あくまで他人の話ですよ〜という前フリなのだ。





「あのさ、これは俺の友達の話なんだけどさ」

『へ？』



オフィスで小休憩をしている時に、私の想い人であるCEOは、「ちょっと相談したいことがあるんだけど」と切り出した上であのワードを放ったのだ。



……いや、まてまてまて。
最初の仮定は少女漫画の女子側に適応するものであって、男性側で同じことが言えるとは限らないが、そんな定型文をあの伊沢さんが口にするなんて…どういう事なんだ…？




「A、聞いてる？」

『あ、あ、いえ。じゃない、聞いてます』

「どっちだよ笑
んと、友人の話のことで相談。相談だから思ったことそのまま言って欲しいんだけどさ」

『えっとー…素直な意見でいいんですね？』

「…おう」





何その間！！絶対伊沢さん自身のことでしょ！！
そうだと分かりながら聞く事になるのもある意味地獄。だってこの後口にすることに何かしら意見を述べなければならないけど、私からしてもあなたは想い人なんです！！！

そんな事を心の中で叫びつつ、いつも通りの顔を意識してその後の言葉を待った。

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