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side: sgi
オフィスの執務室でレポートを終わらそうとパソコンを開き打ち込んでいると、左斜め前にライターのAちゃんが座った。
…俺の勘違いじゃなきゃ、最近よく彼女と目が合う。
そんなライターの子。
山本の同期で、明るく溌剌とした印象がある。
めちゃくちゃ仲がいい訳では無いが、仲良くなれたらなと思ってはいる。
友達として、という感情とはまた別に。
そう思い始めたのは随分前のような気もするが、距離を縮める方法なんて分からず、ただ思ってるだけだ。
『あの、須貝さん』
「んあ、え?何?」
『あ、すみません、集中されてましたよね…』
「あーいや違うの!大丈夫、どうかした?」
『え、と、その……』
そう言うと俯いてしまったAちゃん。
なんの事やら分からず頭にハテナを浮かべていると、少し顔を上げた彼女の顔は少し赤くなっている。
…………赤くなっている??
「Aちゃん?」
『あ、えと、すみません、何でもないです…』
呼びかけると慌てた様子で謝ってきた。
話しかけてきてその表情で何でもないわけないとは思うんだけど…。
その頬の赤さが何を意味しているのか、少しは期待してもいいのか、頭の中がそんなことで支配されてレポートどころではない。
「…よし、Aちゃんが俺に何を言おうとしてたか当てよう」
『へっ!?』
「んー、その反応からするに、俺に何か言いづらいことを聞きに来た感じかー?」
『あっ、えと…、はい』
「おっ、当たってた。でも内容までは察しつかないなぁ」
『あ、あの…須貝さんは、チョコレートとか好きですか……?』
「え…?あ、あぁ好きだけど…?」
『あ、それなら良かったです。ほら、明日は…』
「バレンタイン、か」
予想とは反した質問に狼狽える。
そうか、バレンタインなんてあんまり縁がなくて忘れていた。俺にそれを聞いてきたってことは、本当に期待していいのか、はたまた義理だけど食べれるかだけ聞いてきたのか。
『…じゃあ、私が本命をあげたら、受け取ってもらえる確率って何%ですか…?』
「え…俺に?」
『……はい』
「…たぶん、99.9%かな」
『ほんと、ですか?』
「うん、ほんと。てか、俺でいいの?」
『…それは愚問ですよ』
そう言うとAちゃんは颯爽と執務室から出ていった。
明日、これは絶対期待していいやつだ。顔がにやけるのが自分でも分かる。
なんとか気持ちを抑えて、早くレポート終わらせなければな。
fin.
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浅間(プロフ) - いろさん» 返信が半年近く遅れてしまいすみません…!!!!コメントありがとうございました!好きと言っていただけてとても嬉しいです…。マイペースな更新で申し訳ないですが、もしよければ今後ともよろしくお願いします! (2020年7月15日 0時) (レス) id: 2921f9dd64 (このIDを非表示/違反報告)
いろ(プロフ) - 今更感すごいですがコメント失礼します!前々からすごく好きで見させていただいていたのですがとうとう好きが溢れました。好きです。失礼しました。 (2020年3月4日 21時) (レス) id: 5fbef9d1c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:浅間 | 作成日時:2019年10月24日 17時