Call me back again【短編集】

その先を越えていく -sgi゜ ページ19

゜｢カーテンコール｣のお2人です。




『ねえ！駿貴さん！！！』

｢あん？どした？｣


オフィスに入ってくるなり俺の方に駆け寄ってきたA。
普段オフィスでは俺の元に自分から来ることがないから非常に珍しい。
どうしたんだ？俺のかっこよさに惚れ直したとか？
同じ部屋にいる伊沢の視線を受けながら、嬉々とした顔で駆け寄ってきたAの手元にはスマホが。画面には俺と田村がアメリカで撮った動画が再生されていた。



『これ、あの開成の田村さんだよね！？』

｢ん？あぁ、そうだけど、それがどうかした？｣

『ほんとに…！！あの田村さんがこんな形でまた見られるなんて…！！！』

｢え？A、田村のこと知ってんの？｣

｢あー、Aさん俺のことも高校生クイズ見てて知ってたって言ってましたもんね｣

『そう！！伊沢さんと田村さん、どちらもあの時に見てるの！』

｢なるほでぃ〜、それでその反応か｣



"あの"田村さんという言い方は完全に知ってる言い方。そういえば田村は開成のクイズ部でイケメンの天才と話題になってたっけ。
そんなことより、A、めちゃくちゃ興奮してるやん、俺に会った時より興奮してるやん。その画面、彼氏も映ってるんだけど見てる？？？



｢あーのAさん？そんな田村のこと好きだったの？｣

『えっ！いや、好きっていうか、ほんと当時からカッコイイなぁって…このポーカーフェイスなのに爽やかなの素晴らしと思うの…クイズでも冷静だったし、でも静かな闘志を秘めてるとことか……』

｢いやめっちゃ語るやん｣

｢須貝さんが少し可哀想なくらい好かれてますね田村さん｣



伊沢にも哀れまれた。
いや、さすがにいつも元気な俺でもちょっと凹む。
それに田村は普通に仲のいい友達だから複雑な気持ちもある。やっぱ若くから活躍してた奴はちげーのな。

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