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adrh side
深夜。
星の代わりにネオンの看板が見える視界。
俺は一人、ゴミ置き場に寝転がり煙草を蒸かしていた。
『あの女で最後、かぁ……』
真っ黒の画用紙みたいな空に白い煙が舞う。
通り過ぎていく群衆は、俺をゴミみたいな目で見て行く。
いや、好奇心で近寄って来るガキもおるわ。
目の前にな。
良いぞ良いぞ。存分に見てけ。
この負け犬のゴミみたいな姿。見たかったら見ていけ。
先程、ヒモ先の女にビンタされ、捨てられたばかりや。
腫れた右頬を擦りながら、目を閉じ考える。
『はよどうにかせんとな……』
男は……当てにならん。衣食住まで完備してくれる男なんて俺が覚えてる限りおらんし。
大体の男は、ケツ貸せば金貰うだけ。
女の方が良い。俺の処理も出来るし衣食住完備。良い物件だわ。
『大阪って……案外治安悪いもんやな』
そう。ここは大阪。
元居た東京なんて場所よりか、ぶっ飛んでる奴の方が多い。
そんな大阪は、俺にとっては好都合だった。
親にも捨てられ、弟達は捨て、友達を切り離し、ただ一人金無し職無し酒のアテもなしに来た俺を、
受け入れてくれる馬鹿な女男どもがおるからな。
『…………はぁ』
溜息と共に煙を吐き出す。
まじでどうにかせな。
一応、顔面と学歴には自信あるし……ホストの店にも飛び込んでみるか？
でもホストの店って大体クソだからなぁ…。
え？何で顔面に自信があるかって？
その場におるだけで女が寄って来るからに決まっとぉやろがい。
まぁ、ドイツと日本人のハーフやからな。これで顔面クソやったら死んだ方がマシやろ。
学歴は……東大出とうからな。
大体の女は高学歴が好きってクソババアやクソジジイから聞いとったから東大入ったんや。
そしたらな？まぁモテるモテる。
まじで。女には困らなかったわ。
最高の大学生活を送って、一応卒業して、その後は……親にタコタコに口文句言われたなぁ…。
んで、確か……そうや。
女男からむしり取った金やらなんやら全部取られて家放り出されたんやった。
家から放り出しやがった癖に金だけ持って行くクソみてぇな奴らとは縁切って正解やったわぁ。
でも……マジで深刻や。
正直、明日の飯にも困っとう。
煙草も今吸ってるこの一本で最後やし、酒もねぇ。
如何せん金目のモンもあのクソ女に持ってかれたし……。
『人生、詰んだんちゃうか……？』
そんな事を呟いた瞬間、声を掛けられた。
？「あれ？アドルフ？」
『………あ“？』
＿
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作者名：モンエナ子 | 作成日時：2022年10月16日 22時
