▶ ページ11
○
「誰が誰を嫌いになるって？」
少し怒ったような声を出し、泣いている乾の頭をぐしゃぐしゃと強めに撫でるノブ。
乾はびくりと肩を震わせると恐る恐るおしぼりから涙で濡れた顔を上げた。
「っ、え…な、なんで？！飲み会、は？」
「乾が迷惑かけてすいません」
混乱してる乾をよそにノブは律儀に俺に謝ってくれた。
ほら、乾も。といってノブは乾の頭を抑えて頭を下げさせる。
「別に迷惑じゃないよ。それより乾のことどうにかしてやって」
ノブがいなくて寂しかったんだって、と少し揶揄うと余計なこと言わないでください！といって、キッと乾に睨まれる。
泣き顔で睨まれても怖くないけど。
「なんで、ノブがここにいんの…」
少し気まずそうに聞く乾に、両手で乾の頬を包み親指で目元の涙を拭いてやりながらノブは答える。
なんだかんだノブが来てくれたのが嬉しいのか乾は少し嬉しそうに目を閉じてされるがままだ。
「こうちゃんさんに聞いたんだよ。それより誰が誰を嫌いになるって？」
聞き捨てならないなぁ、といつもより意地の悪そうな笑顔を浮かべたノブは軽く乾の頬をつまむと、その表情とは裏腹に優しい手つきで涙で濡れた乾の顔をハンカチで拭いてやり、クシャリと乱れた髪の毛を手櫛で整えてやる。
「……ノブ、が、俺、を…」
頬をノブに抑えられてるため俯いて視線をそらすことができないからか、キョロキョロと視線を彷徨わせながら実に言いにくそうにボソボソと喋る乾。
さっきまでの威勢の良さはどこいったんだよ。
「………はぁ、そっかぁ…乾には俺がどんだけ乾のことを好きか伝わってなかったんだぁ」
残念だなぁ、と大袈裟にがっかりした様子をするノブに乾は焦ったように慌てて違う、とかそうじゃない、とか言って言い訳を並べる。
「なぁんにもわかってない乾にはわかるまで教え込まないとダメみたいだね」
にっこりと笑うノブに顔を青くする乾。
全くバカップルの喧嘩に巻き込まないでほしいよな…と俺はため息をつく。
「それじゃあこうちゃんさん、俺たちはここで」
にっこり笑って財布を出そうとするノブを制止する。
「ここはいいから早く帰りな。あ、明日は乾もノブも休みだけど…ほどほどにしてやれよ」
果たして効果はあるかわからないがとりあえずノブに忠告だけしておくとノブは人当たりのいい笑顔で悪魔のようなことを言った。
「はい、明後日の撮影には迷惑かけないようにするんで！」
俺は心の中で乾の無事を祈った。
Fin.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 79人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷよーこ(プロフ) - さっき、新しいお話も読ませていただきました。仲良しな二人が、とにかく可愛くて可愛くて…。とても嬉しいです。いつもありがとうございます。ご無理のないペースで更新していただけたらと思います。 (2月2日 13時) (
レス) @page15 id: 7d400068d9 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぷよーこさん» ぷよーこ様、ありがとうございます！ついつい距離感近く書いてしまいますが、そう言っていただけて嬉しいです︎︎︎☺︎のんびり更新で申し訳ないですがまた読んでいただけたら嬉しいです♡ (2月1日 0時) (レス) id: 13b56e20e1 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよーこ(プロフ) - とても可愛くて素適なお話をありがとうございます。いつも仲良しな兄弟二人の距離が近ければ近いほど、とても嬉しいです。 (1月11日 0時) (レス) @page13 id: 7d400068d9 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - ぷよーこさん» ぷよーこ様、感想ありがとうございます。本当に嬉しいです！わたしも仲良し兄弟が大好きなのでこれからもhgs兄弟のお話が多くなるかと思います。また作品をあげていきますので読んでいただけると嬉しいです︎︎☺︎♡ (1月3日 17時) (レス) id: fdd41f0dc2 (このIDを非表示/違反報告)
ぷよーこ(プロフ) - 仲良し兄弟の二人が大好きなので、可愛いmnちゃんと優しいgnちゃんのお話を読めて凄く嬉しいです。ありがとうございました。 (12月23日 20時) (レス) @page2 id: 7d400068d9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まる | 作成日時：2023年11月28日 0時
