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後輩の少年は激しく憤慨した。
普くんはそれをいなして少年を引き倒す。
「時計守！」
「なんじゃい。」
「学園の時間を戻して。そうだな…ミライが脱走する前…朝までね。」
「まー身内の不祥事だからのぉ。」
「ミライはただ、Aに会いたくて外に出ただけなのに…。」
『えっ…そう、だったの…？』
まさか私のせいだと思わず、ミライちゃんを抱き上げて視線を合わせる。
「A…、またどこかに行っちゃうの…？」
『…どこにも行かないよ…でも、一緒にはいられないの…。
私ね…もうずっと一緒にいるって約束した人がいるから…。でも、これからは…もう少し会いに来るようにする…それで許して、ミライちゃん。』
「うん…わかった…、ミライとのヤクソクよ…。」
きゅっとミライちゃんを抱きしめれば、スンッと鼻をすする音が聞こえた。
「老人は感動的な話に弱いんじゃ…！」
『お、おじい様…。』
ダバダバと仮面の下から滝の様な涙が流れているが、気にせずじゃらりと時計を出している。
トントン
「グスッ…久々に、大きく動かすとするかの。」
カチコチカチコチ ズズズズ
「この音…」
ぴょーんとミライちゃんが少年の方に飛ぶ。
「おじーちゃんは時間を巻き戻せるのよ！だからザンネンだけど、今日のことぜーんぶなかったことになるの。」
『もちろん、その記憶もね。』
私の言葉に、少年は驚愕の表情を浮かべる。
少年と普くんはまた言い争いを始めた。
『…浮かない顔、してるね。現在の時計守くん。』
「…あなたは、えっと」
『元人間、元時計守、現怪異…、名前はA。
スキに呼んでね。』
「じゃあ先輩で。」
せ、せんぱい…？
「現在を司る時計守の先輩時計守、だから先輩。」
『あ、えっと…、……先輩って呼ばれるの久々だから…なんだか照れちゃうな…。』
「ぐっ…！お、恐ろしい、こうやってジジイたちも落としたのか…！アオちゃんアオちゃんアオちゃん！僕にはアオちゃんだけだから！」
『え、と…？』
「…なんで、僕に話しかけたんですか。」
一応敬ってくれているのか、言葉使いは敬語である。
『さっきも言ったけど、貴方が浮かない顔をしていたから。
何か我慢してる…？』
「…我慢って言うか、イライラする。七番サマのあの言葉、絶対無理なんて、そんなの他人に決められることじゃない。」
その考え方に、私は好感を持った。
だって、私は、あきらめなかったから、つー君と出会えた。
世界の理に抗ったから、今ここにいられる。
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作者名：カノン | 作成日時：2020年11月22日 3時
