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見えたのは眩しい夕焼け、聞こえたのはお馴染みの夕焼け放送。
安堵して涙が浮かんだ。
ガタッ
「だ、だれ…？」
「は、花子くん！？」
そこにいたのは花子くん。
その腕にはじわりと血が浮かんでいる。
「それ怪我！？痛そう…どうしたの？
花子くん…泣いてたの…？」
「！！」
ごしごしと懸命に涙を拭う花子くん。
その時違う扉から1人の生徒が入ってきたようで。
『遅くなってごめんね普くん、救急箱先生から借りてきた……あれ？だれ？』
「Aちゃん…！」
さっき、屋上の扉で恐ろしい光景を見てしまったからか、心配でそちらに駆け寄る。
『え？え？』
「大丈夫！？けがは！？血は出てない！？」
『え、えっと…怪我してるのは普くんで…だから救急箱を…。』
「Aさん、こっち来て…！」
花子くんに呼ばれ、トトト…とAちゃんは戸惑いながらそちらに行く。
「お、俺たちっ…
さよならっ！」
『あっ！えっ！？』
「えっ？」
花子くんはAちゃんの腕を引っ張りそのまま教室から出て行こうとする。
カシャンとロケットの付いた鍵を落としたことに気づかずに。
「ねぇ待って！これ…！」
一歩、その一歩を踏み出そうとしたとき、見覚えのある人魂が周りを飛んだ。
「みーつけた」
「あ…待って、私まだ…！」
ヒュルリ
視界がぶれた。
ガタガタ ガタッ
「きゃあああああああああ！！！」
ぽす
「ハイ、とーちゃく〜。」
「…花子くん…。」
「あれ？なんか変な服着てるね。」
へ、変な服…。女の子にそれは傷つく…。
「ちょっと失礼。」
抱きしめられ、離れたら、いつの間にか服がいつもの制服へと変わっていた。
「おかえり、ヤシロ。」
「……」
私が危ない目に遭ったとき、困ったことがあったとき、花子くんはいつも私を助けに来てくれた。
Aちゃんもそう、私のこと守ってくれた。
だから…、私も守ってあげられたらいいのに…。
「ただいま…。」
そう思いながら、私は鍵をそっと隠した。
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作者名：カノン | 作成日時：2020年11月22日 3時
