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「お帰りなさい、A。」
『サクちゃんただいま。』
「ねーねーサクラ、俺もいるよ？ねーねー。」
「…久しぶりに見たわね。あなた達のソレ。」
ソレ、というのは恐らく、小指に繋がる赤い糸のことだろう。
「俺かAが意識しないと出ないからねーコレ。」
『つー君の居場所がすぐわかるから嬉しい。』
「確かに役に立つよネ。」
「前から思ってたんだけど、それって普段の生活で切れたりしないの？」
夏くんの言葉にくるりとつー君が顔を向ける。
「これって糸に見えるけど、実際は糸じゃなくて縁だし物理的に切ることは出来ないヨ。
それにこれは、Aの願い事を叶えた結果だから、切れたらとっても困るんだ。」
「あら…、そうだったの？」
「初耳〜。」
「切れたら、俺もAも一緒に消滅しちゃうんだ〜。」
あはは、と嬉しそうにつー君は笑う。
夏くんとサクちゃんは一気に険しい表情になった。
「聞いていないわ。」
「あれ？そうだっけ？」
『ごめんねサクちゃん…、聞かれなかったから…。』
ションと落ち込めば、サクちゃんは困った顔をした。
「これは俺たちが一生一緒にいられるようにって、Aが俺に願った結果。
糸が切れなくても俺が消えたら一緒にAは消えて、逆にAが消えたら俺も一緒に消える。
まさしく一心同体！運命共同体ってやつだよネ！」
「…そんな大掛かりな願い事して、一体Aさん何の代償とられたんですか…？」
夏くんが心配そうな目をしている。
『私』
「？」
『私のすべて。』
「えっ…。」
「まぁ元からAは俺のものではあったんだけど、自他共に認めさせるのに手っ取り早いかなって思ったんだよネー。」
ニィッとつー君が私を見る。
「頭の天辺から爪の先、その髪の毛の一本、血液の一滴、体だけじゃなく心と魂まで、Aの全ては俺のものなんだよ。」
サクちゃんは眉間を抑え、夏くんはしゃがんで頭を抱えてしまった。
どうしたんだろうか。
私はつー君の首へと腕を回す。
『そう、私のすべてはつー君のもの。
そして、この
つまり、一生つー君は私と一緒にいるしかない。
つー君は私のものになったの。消滅するときは一緒よ、つー君。』
これって、とっても素敵なことだと思わない？
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作者名：カノン | 作成日時：2020年11月22日 3時
