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「あとね、魚がいた。
魚、喋る魚って中身どーなってんのかな？気になんない？俺超気になる。
ネーどう？ねーねー気になるよね？ねーねーねーねー」
「どうでもいい。」
一蹴されている彼の言葉に、私はアレ？と思い出す。
『魚…、そういえば、私が会ったお魚も喋ってた。』
「えー！Aも？Aも魚に会ったの？」
ギューギュー抱きしめられながら、こくりと頷く。
『第二のおひいさま…とかなんとか言われた。』
「おひいさま…？Aが魚のお姫さまってこと？」
『違うって言っておいたけどね。きちんとサクちゃんが言っていた通り本当のおひいさまのところまでお魚を届けてきたよ。』
「ふーん…そう…。」
なんだか少しヒヤリとした空気になった。
『…つー君？』
「…そんなことより早いとこ噂流しちまいましょうよ…。」
「はいはい…。」
「……、それじゃあサクラ、今日はどんな噂にする？」
サクラと呼ばれた少女はヘッドホンをしてマイクを準備した。
「そうね―――」
今日はどんな噂を流すか、サクちゃんが選別をしている。
そんな時、私の視界の端で何かが揺れた。
『…？』
あれ？あれって…。
未だ抱きしめられたままで動けない私は、近くにいた夏くんの服を掴んでクイッと引っ張る。
「ん？どうしました、Aさん。」
『夏くん、あのね、あそこ…。』
先ほどの方向を指差せば、夏くんが私の代わりに見に行ってくれた。
「オイ」
「ギャ――ッ！」
「なんだお前？」
ビク――ッと跳ね上がった魚を夏くんが摘み上げた。
「ははは放せ！我らは高貴なる水の民であるぞ！」
「喋ってるし…お嬢、なんか見られてたんですけど…魚っぽいのに…。」
「魚」
つー君が抱きしめていた私を離し、ボールペンを掴んだ。
その瞳は黒々としていて、好奇心でいっぱいだった。
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作者名：カノン | 作成日時：2020年11月22日 3時
