【文スト】神の御加護がありますように【刀剣乱舞】

23 side:刀剣男士 (※微病み注意) ページ23

主君と僕が出会ったのは、まだ主君が四つの時でした。

初の鍛刀で顕現された僕は、目の前の自分より小さい存在に驚いたものです。

小さい手でこんのすけを引きずりながら抱っこして、その後ろには初期刀である歌仙さんが困った笑顔で控えていました。

何も分からない主君と何も分からない僕らで、
こんのすけに色々聞きながらも少しずつ状況を理解していきました。

歴史修正主義者、時の政府、刀の付喪神、

難しい話ばかりの中、主君が理解したことは、

これからは僕らとずっと一緒にいるという事でした。

親元を離され始めこそ泣いていましたが、

歌仙さんの初の単騎出陣でその考えも消え失せたようです。

僕が主君の警護をしている間に、歌仙さんはこんのすけの指示で函館に行き、

重症で帰ってきました。

泣いていた主君もそれには驚いたようで、さらに泣きながら急いでこんのすけの指示通りに手入れをしていました。

直った後、歌仙さんに抱き付いて身体中の水分が無くなるのではないかと思うほど泣いた主君は、

最後に笑いました。

また、いたいとき、なおしてあげるね。

そう言って、

一緒にいる覚悟を、一緒に戦う覚悟を

幼いながらもしてくれました。

その日から、僕らは主君の大切な物となったのです。

しかし、それは僕らも一緒で、

舌足らずな口調でまえだ、まえだと呼ぶ声も、

ニコニコと笑う顔も、

小さな身体も、

全て全て、

僕らが守らなければと思いました。

それぐらい、僕らは主君が大好きになりました。

だから、

主君を亡くしたことは、

僕らの罪なのです。

守れなかった僕らの罪なのです。

だって、

主君は真っ直ぐで優しい子に育ってくれました。

目の前でお守りが発動した刀に対して、次の攻撃が来る…。
次こそ折れてしまうと思った主君が、

取る行動など、

一つしかないと、

理解、して

いたはずなのに…！


これは僕らへの罰です。

来世(つぎ)は絶対守り通せるように、

自分で自分に呪い(のろい)をかけるのです。

僕らは、他の全てを犠牲にしてでも、次こそ彼女を守ります。

もう僕らは歴史修正主義者と何ら変わりない存在に成り果ててしまっているのです。

だって、

大事な主君の未来を守るために、

ただの人を犠牲にする事を選んだのですから。

これが、僕らのもう一つの罪であり、

罰なのです。



…この事を言えば、主君は絶対悲しみます。

怒ります。

止めようとします。

だから、

主君には秘密です。

24 side:中原→←22

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す