13 side:太宰 ページ13
「…そんなに怒らないでくれ給え、前田君。
傷つけようなんて気持ちは微塵も無いよ。」
背中に突きつけられた鋭い感触に、そう声をあげた。
「負の感情があれば主君は気が付きます。
負の感情を止められないのなら、主君に近づかないでいただきたい。
これは忠告です。
僕はまだ寛容な方だと自負しています。
過激なものなら、太宰殿が主君に触れた瞬間に切り捨てていますよ。
だからこそ、僕の忠告は聞いた方が身のためです。
その負の感情も、
どす黒い欲の塊も、
全て自分で噛み砕いて飲み干してください。
主君は我々の大事な者で、
我々は主君の大事なモノなんです。
守ってくれることには感謝します。
それでも神は嫉妬深いので、我らの者に手を出そうとする者に容赦はしませんし、傷つける者にはもっと容赦はしません。
今の僕らの前では、
主君の
その他全ての
軽くてしょうがない。
ここには僕らの守るべきものは、
この子以外に存在しないのですから。」
少しの悲しみを交えた前田君の言葉、
それはきっと、先ほどの嘆きが関係している。
でもなぜだか、それを追求したいとは思えなかった。
「あなた方は慈愛の心だけを持って、
主君を守ってくれるだけでいいのですよ。
大事な大事な僕らの主君を、
死ぬ気で汚い害悪から守ってください。
よろしくお願いしますね、
ポートマフィアの血塗られた皆さん。」
それだけ言い残し、前田君は消えた。
本当に、なんでこれ異能力じゃないんだろう？
ただの異能力だったら、
こんな想いしなかった。
神様はいても、
僕らみたいな人間に慈悲を与えることなどないって、
知ることも無かった。
神様なんていないって、
そう思えた。
この息がしづらい世界で、
なんの救いもなく、
ただただ毎日を生きなければならない苦痛。
あぁ…なんだか、
今すごく、 死にたいなぁ。
『んん…。』
「！！」
腕の中の少女が少し身動ぎ、そして薄っすらと瞼が持ち上がる。
『……、おさむおにいちゃん、…どこかいたい…？いたそうな、かおしてる…。』
「…大丈夫だよ、ほらオヤスミ。」
『…わたし、ていれが、とくい…だから、ぽんぽんしてあげる…、そしたら、いたくなくなるから…。』
「…、…。」
『…いたくなくなったら、わらってね…。』
そこまで言うと、少女はまた眠りについた。
「…、…うん。」
もう聞こえていない少女に、僕は遅れて返事を返した。
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Hi！ - はじめのエリスちゃんの言葉にやられました。好きです！ (2019年7月14日 23時) (
レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
しの - マッジで面白いねんけど 更新待ってますね (2019年7月12日 0時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - わさまんさん» それに気が付くとは…。知られたからには…。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - silentさん» ありがとうございます。いいことがあって悪いことがあったら次はまたいいことが来ますよ。例えば賽子6・6とか。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - KISH○W推し(女)さん» ちゅやはいいぞ。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：カノン | 作成日時：2019年6月6日 19時
