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26 side:刀剣男士 ページ26

久しく見ていなかった俺たちの大将は、幼い容姿で不安定な霊力をしていた。
元々の生きていた次元が違ったんだ、無理もない。
しかし、時間が経てば霊力も安定してこの世界との縁がしっかりと結ばれることだろう。

今も大将からは数本の縁が誰かへと繋がっている。
その縁は白い糸のようで、悪いものではない。

色付きの縁は厄介なものが多いが、取り敢えず今はそんな心配は…。

そこまで考えて、俺は目の前の存在に目を細めた。

まだ縁は出来たばかりのようで、その縁は薄く儚い。
しかし、その糸は確実に相手側から赤く染まり出していた。

ああ…こいつは良くねぇな…。

「大将、そんなに目を擦ったら赤くなっちまうぜ?冷やしてきな。」
『さっきお顔あらったばかりなのにぃ…。』

渋りながらも、大将は奥の部屋へと入って行った。
それを見届け俺はそいつに顔を向ける。

「よお、さっきは挨拶出来なくて悪かったな、俺は薬研藤四郎。
大将の守り刀だ。」
「…中原、中也。」
「中原中也、か。良い名前だな。」
「!!…なん、だ!?」

目の前のそいつは、戸惑いと驚きの表情をこちらに向けている。

今コイツは、自分の体が思うように動かせないだろう。
神か真名を掴むというのは、
魂を縛ると言うのは、そういう事だ。

…とは言えど、俺は別に大将の交友関係を制限したいわけじゃあない。

だが、釘は刺さなきゃならねえ。

「なぁ、中原中也…悪いことは言わねえ。

その気持ちには、気がつかない方がいい。」
「は…?何を…。」
「無自覚なのか?こりゃまた面倒だな。
まぁいい、聞け。
大将はな、男所帯の本丸で蝶よ花よと育てられた。
それこそ目に入れても痛くないほどに皆で可愛がったもんだ。」

俺は若干の懐かしさを覚えながらも話を続ける。

「そんな大事な存在を、その辺の輩に渡せるわけがねぇ。
別にアンタが悪いわけじゃないが、少なくとも、俺たちより強い奴しか、俺は認めねぇ。」

まぁ、中々厳しい条件だと思うが、大将に恋慕を抱きたいならそれぐらいはしてもらわねぇと困る。

俺は大将が幸せになるなら、他の人の子と契る未来も悪くないと思ってるんだ。

「まぁ俺が認めても他の奴が認めるとは思えねぇが、取り敢えず…その感情に気が付きたいなら、誰よりも強くなった方がいいと思うぜ?」
「…何で、俺に言うんだ。」

なんで、何でか…。

「俺は必死に生きる人間が、嫌いじゃないからな。」

…だから俺は、人間の全てを犠牲に出来ないでいるんだ。

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Hi! - はじめのエリスちゃんの言葉にやられました。好きです! (2019年7月14日 23時) (レス) id: f98b79cb93 (このIDを非表示/違反報告)
しの - マッジで面白いねんけど 更新待ってますね (2019年7月12日 0時) (レス) id: 5129f74190 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - わさまんさん» それに気が付くとは…。知られたからには…。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - silentさん» ありがとうございます。いいことがあって悪いことがあったら次はまたいいことが来ますよ。例えば賽子6・6とか。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
カノン(プロフ) - KISH○W推し(女)さん» ちゅやはいいぞ。 (2019年6月24日 21時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:カノン | 作成日時:2019年6月6日 19時

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