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『皆、紅茶が入ったわぁ。』
「ありがとう、母さん。」
嬉しそうに笑うAさんを微笑ましそうに彼は見つめる。
『皆でなんのお話をしていたの?ママも聞きたいわ。』
「秘密、だよ。男同士の話なんだ。」
『あら、ママだけ除け者なの?悲しいわ。』
「ごめんね、母さん。でも男はプライドで生きてる生き物だからさ。」
「それは同意します。」
「確かにそういうところがある。」
『そうなの…?ママもまだまだ勉強不足なのね。
あ、これが男の友情というやつね?この前ドラマで見たわ。』
ちょっと違うような気もするが、彼女が笑ってくれるなら構わない。
「じゃあ、改めて自己紹介しようか。
オレは杉沢和人。
前世は母さんの子供たちのうちの一人で、カズトって呼ばれてた。まぁ、今もカズトって名前だけど。
レストランとカフェ、あと料亭の経営もしている。」
「阿鳥遥斗です。今はホテルのコンシェルジュをしています。母上の元子供です。今世も母上の子供でいたいです。」
「大外聖生、医大生です。Aさんとは運命の出逢いを果たしました。運命の赤い糸は信じてます。」
『阿鳥Aです。釈迦如来様が、ハル君の従兄妹に転生させてくださったの。
今は現世をお勉強中よ。』
さらりと自己紹介してくれるAさんは流石だと思う。
「それで、カズトさんは母上にカフェをあげたとか?」
「え?ああ、うん。そうだよ。今丁度オープンする店があるんだけど、ここから近いし、母さんにプレゼントしようと思って。経理とか経営事態は面倒だからオレの方でやるけどね。」
「いいんですか?色々処理とか面倒でしょう。」
『そうなの?カズ君、無理してはダメよ?』
Aさんがそう言うと、カズトさんはへにゃりと顔を緩ませて笑う。
「オレが母さんにプレゼントしたいだけだから。
それにね、オレがカフェで母さんの作った物を食べたいんだ。毎日お邪魔するわけにもいかないしね。」
『まぁ、そうなのね…。』
毎日訪れている僕らはそっと視線を逸らした。
「あと、オレ結婚してるんだ。子供も一人いる。
家族に、母さんの料理を食べさせてあげたいんだ。」
『…嬉しい。ママ、本当に嬉しいわ…。
カズ君、とっても幸せなのね。』
「ああ、母さんの元にいた時と同じくらい幸せだよ。
ありがとう、ずっと言いたかったんだ。オレ、母さんの子供で幸せだった。
これからも、オレを、オレ達家族を見守ってくれると嬉しい。」
『…っママは、いつでも可愛い子供達を想っているわ。』
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カノン(プロフ) - 愛維音さん» 作品を面白いと言ってもらえて嬉しいです、ありがとうございます!のんびりだとは思いますが、これからも更新頑張っていきます。 (2018年9月1日 20時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
愛維音 - めっちゃ面白いです!!!更新頑張ってください(。・ω・。) (2018年9月1日 16時) (レス) id: 47a8c236a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノン | 作成日時:2018年8月14日 14時