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「えっ!?Aさん働くんですか!?」
甘すぎず、こってりとしすぎないAさん手作りのスフレチーズケーキを堪能していると、爆弾を落とされた。
遥斗さんも今初めて聞いたようで目を見開いている。
『うふふ、そうなの。実はね…。』
Aさんの話をまとめるとこうだ。
今日奥様方と行ったディナーのお店。
星をもらうほど有名な創作フランス料理の店だったらしいのだが、そこのオーナーがなんと鬼子母神時代のAさんの子供だったらしい。
店で会った瞬間に泣きながら抱きしめられたそうだ。それはもう驚いたとか。それはそうだろう。
まぁその後ディナーの帰りに自分の経営しているカフェを一つプレゼントしたいと言われたらしい。
そこで働くそうだ。
もう訳が分からない。
店のホームページをスマホで開いてみれば、30代半ばの中々にイケメンなオーナーが写っていた。
…傍から見れば、いきなり年上の男性に泣きながら抱きしめられた初対面の女性という圧倒的に怪しい絵面が完成している。
周りはさぞ騒然としたことだろう。
「あの…周りの奥様方の反応は大丈夫だったの…?」
『ええ、皆には久しぶりの家族の再会でびっくりしちゃったって伝えてあるわ。』
「確かに…家族の再会は間違ってない。というか、俺以外にも記憶を持っている人がいる事にびっくりだよ。」
「それは確かに。というか、経営しているカフェをプレゼントって意味わかんないよ。」
親孝行の域を超えすぎているだろう。
『ふふ、カズ君はね、実はまー君と会ったことあるのよ?もちろんハル君も知ってる。』
「カズ君って…ああ、オーナーさんか。
……え?僕が会ったことある?」
僕と?全く記憶にないぞ。
『黄昏ホテルで私の家に行ったとき、子供たちがいたでしょう?』
「ああ…あの顔に布をつけてた子達…。」
『あの時皆より少し背が高い子がいたでしょ?ほら、まー君に新しい家族か聞いてた子。』
「そういえばいたような気がする。」
『その子がカズ君よ。』
「ん?」
『その子がカズ君よ。』
重要なことだからか二度言われた。
「え…、だって年齢が…。というかあの人はあの世の人だったんじゃ…?」
『あの子はね、もうすぐ転生する予定だったから。』
嬉しそうな顔でAさんは口を開く。
『私の子供たちはね、いつか転生する子ばかりなの。私も子離れしなければいけないのよ。』
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カノン(プロフ) - 愛維音さん» 作品を面白いと言ってもらえて嬉しいです、ありがとうございます!のんびりだとは思いますが、これからも更新頑張っていきます。 (2018年9月1日 20時) (レス) id: 6b81268271 (このIDを非表示/違反報告)
愛維音 - めっちゃ面白いです!!!更新頑張ってください(。・ω・。) (2018年9月1日 16時) (レス) id: 47a8c236a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:カノン | 作成日時:2018年8月14日 14時