46 ―旭 side― ページ20
A「すみません！ すぐに戻ります」
「いーよ、一緒に戻ろう」
ぱたぱたと俺のところに駆け寄ってきたAと一緒に体育館に戻りながら、
俺はやっぱりさっきの音駒とAとの会話が気になっていた。
Aの弾けるような笑顔と、
音駒のキャプテンが発した、Aの下の名前。
さっき会ったばかりの人とそんな打ち解けることなんて、あるかな。
「……Aさ、音駒の人とは……知り合い、なの？」
もうこれは聴くしかない。
隣を歩くAに、おそるおそる問いかけた。
こういう時、さりげなく話題に織り交ぜたりできるスマートさとか欲しかった。
つくづく自分が情けないな、と内心ため息をつく。
-
Aは俺の問いかけにぱっと顔を輝かせ、
嬉しそうに話し出した。
A「そうなんですよ！ 幼なじみなんです。東京にいたときの」
「あっ、幼なじみ……」
-
Aの言葉に、少し気の抜けたような声が出た。
なるほど。幼なじみ。
そう言われると、さっきの親しそうな距離感も、名前呼びも、合点がいく。
「すごい偶然だね、それは。というか、東京居たことあるんだ」
A「小学校を卒業するまでは東京で。私もまさかってびっくりしました」
-
にこにこしながらそう話すAと並んで体育館に戻ると、
バタバタとすぐに練習試合が始まってしまって。
-
練習試合の結果を一言で言うなら、「完敗」だった。
安定感のあるレシーブと、そこから繰り出される多彩な攻撃。
まさに「つなぐバレー」を魅せられた、といった感じだった。
「向こうが大人猫なら、こちらはヒナガラスということですね」
試合中に聴こえた武田先生の言葉が思い出されて苦笑する。
チームとしての完成度を考えたら当然の結果なんだろうけど、やっぱり悔しいな。
そう考えながらふと水道場の方を見やると、
ドリンクの容器を洗うAと、
音駒の主将がいた。
-
-
A、あの人の前ではあんな笑い方するんだな。
-
Aのことは、彼女が入学した時から知っていて。
バレー部に入るきっかけも、俺で。
苦しい時を助けてもらったりもして。
周りの部員より、ほんの少しだけ近い距離にいるような気がしていたけど。
-
幼なじみ。
なんか、ずるいよな。それ。
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Rn(プロフ) - 続きを待ち侘びております…、無理せずに頑張ってください！ (2021年7月13日 18時) (
レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
とぴ(プロフ) - あやさん» ありがとうございます！長らくお待たせしてしまってすみません(´;ω;｀)これからもがんばります！ (2021年7月5日 14時) (レス) id: 3e972700e7 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - もう更新されないんですか？楽しみに待ってます！ (2021年5月23日 11時) (レス) id: 960a4eb808 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：とぴ | 作成日時：2020年12月7日 21時
