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「これは……すごいな」

練習試合がすべて終わったとき、私は思わずこうつぶやいていた。




烏野の攻撃は間違いなく強かった。日向・影山の変人速攻も、田中さんや旭さんのパワーも申し分なかった。いつもよりもミスだって少なかった。

それでも、音駒には勝てなかった。



これがチームとして完成されているってことなんだろうな。









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音駒のメンバーに使っていたドリンクの容器を洗っていると、
上から聞き慣れた声が降ってきた。




?「よっおつかれ、マネージャーさん」

「……テツに『マネージャー』って呼ばれるの、すごい変な感じする(笑)」



流し場に背を預けてニタっと笑ったテツの笑顔はやっぱりあの頃と変わらなかった。
多少うさん臭くなった程度……って言ったら、テツはけっこうショック受けるだろうからさすがに言わないでおこう……






他愛もない話をしながら仕事を終わらせていく中でテツがふと口にした言葉が、

私の手を止めさせた。









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鉄「Aは、もうバレーやらないのか?」








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流れる水の音が、やけに大きく響いた。









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「っ、バレーは、もうやめたんだ。多分、もうやらない」




一瞬で笑顔を作ってテツを見上げると、
さっきとは裏腹に落ち着いた目線が私にまっすぐ重なった。




静かに私を見つめるテツの視線が、私の心の奥まで刺さっていくようで痛い。









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鉄「…そっか、なんかもったいないな。Aのプレー好きだったのに俺」



永遠に思える刹那の空白の後、テツはまた微笑を浮かべて、
私の頭をくしゃっとなでた。


「ちょっと、もう小さい子どもじゃないの!」

鉄「俺にとっちゃ何年たってもおこちゃまですけど?」

「ひどくない?!」





少しの気まずさをごまかすように、大げさにリアクションをして見せた。

テツも心なしか無理してふざけてるようにも見えて、また心がちくりと痛んだ。








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ごめんね、テツ。



「好きだ」と言ってくれたあの時の私は、

テツが知ってるあの頃の私は、









-







もう、いないんだ。

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Rn(プロフ) - 続きを待ち侘びております…、無理せずに頑張ってください! (2021年7月13日 18時) (レス) id: 0970343196 (このIDを非表示/違反報告)
とぴ(プロフ) - あやさん» ありがとうございます!長らくお待たせしてしまってすみません(´;ω;`)これからもがんばります! (2021年7月5日 14時) (レス) id: 3e972700e7 (このIDを非表示/違反報告)
あや(プロフ) - もう更新されないんですか?楽しみに待ってます! (2021年5月23日 11時) (レス) id: 960a4eb808 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:とぴ | 作成日時:2020年12月7日 21時

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