だれのもーん？Ⅴ (ページ5)

今日:107 hit、昨日:318 hit、合計:136,997 hit

そんなになるまでページ5

・

いつかの1月の舞台の稽古の話。

各々休憩したり、個人で練習してる中ずっと今回の舞台で披露するバトンの練習をしてるA。

でもその顔は、楽しそうじゃなくて何か思い詰めたような顔をしていて見ていられない。

ってことが最近3日くらいは続いてる。

黒「A休憩しようよ。」

渉「おーい。ほら水飲まないと倒れんぞ。」

黒ちゃんとわたが見兼ねて声をかけてもその声は聞こえてないのか反応もかえってこない。

皇「ごめん、湧頼める？？」

こういうとき止めるのは昔から俺の役目で、言われなくてもそろそろ止めようかなと思ってて、床に座ってた腰をあげた。

湧「A。」

横に近づいてバトンを持つAの手に俺の手を重ねた。

雛「練習してるの」

ってちょっと嫌がるように振り払われそうになるからぐっと掴んだ手。その手をバトンから離せば震えてて、手のひらにはタコが潰れてる。見てるだけで痛々しい。

湧「A。」

雛「湧ちゃんにはできないAの気持ちわかんない。」

もう考える余裕もないのかAにしては珍しく強めの言葉がかえってくる。

湧「そんなになるまでやんなくていいの。」

雛「んーん、できないから」

痛々しい手のひらを優しく包めば、その手の上にぽたぽたAの涙がこぼれ落ちる。

湧「おいで？？いっぱい泣いていいよ」

って抱きしめてとんとんすれば声をだして泣き出す。最近、A笑ってるとこ見てないな。

竜「Aちゃん」

黒「だいじょーぶ、大丈夫。」

星「あとで俺と練習しよっか。」

Aが泣き始めたらみんな自然と寄ってきて、黒ちゃんが優しく頭を撫でたり、静かに青木とあじがAの手にテーピングをしてくれてる。

尚「不安になっちゃったね」

湧「大丈夫、大丈夫。Aはちゃんとできてるよ｣

雛「ほんばんっ、しっぱいしちゃやなの」

考えすぎちゃうからどうしてもネガティブな方向に考えちゃうA。これはAの性格上これからも付き合っていかないといけない。

渉「大丈夫だって！こいつさっき思いっきりフリとばしてたし！」

久「渉くん！！それは言わない約束！！！」

颯「俺もさっきバトン落としちゃったよ。」

って笑かそうとしてくれるこいつらもいる。

・