だれのもーん？Ⅴ (ページ34)

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俺がいなくても生きていけるんでしょページ34

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湧ちゃんに全然会えてない。

湧ちゃんが舞台の主演でなかなかレッスンにも来なくてくることがあってもわたしはお仕事でってすれ違いの日々。

始まる前に｢俺頑張ってくるからさAも笑顔な？｣って約束した。

でも、寂しさはどうすることも出来なくて、ぽっかりと自分の中に空いた穴を気付かないふりをするのに必死。

｢わくちゃんっ、にあいたいっ｣

ひとりでのお仕事。ひとりになったらその穴を隠すことはできなくて溢れ出す感情を止める方法を私は知らない。

ひとりで涙が枯れるくらい泣いて、｢今日はひとりで帰りたい｣ってマネさんにわがまま言って｢何かあったらすぐ電話してね｣って言う言葉を何度も言われて出た現場。

外の暗い道に少し肌寒い風が心地いい。

電車に乗って、なんとなく湧ちゃんの舞台の公式SNSを見れば、女の人と仲良さそうに撮ってる写真。

お仕事だもんね。

湧ちゃんのお仕事を邪魔なんて出来ないし、押しかけた湧ちゃんとのトークを消して寂しさを消すように大音量で流した音楽で気を紛らわして電車に揺られる。

本当はAよりも近くにいる女の人にモヤモヤするし、今すぐにでも会いたいし、湧ちゃんの優しい声を聞きたいし、湧ちゃんにぎゅーされて、湧ちゃんの優しい目をAだけに向けてほしい。

彼女じゃないけど、湧ちゃんは特別なんだもん。

｢あいたいなっ｣

自分の頬に流れる、涙を指で拭えば、湧ちゃんと約束した｢笑顔な？｣って言葉を思い出す。

無理だよっ、湧ちゃんに会えないと笑顔になんてなれないもん。

Aの笑顔の源は湧ちゃんなのに。

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