だれのもーん？Ⅴ (ページ30)

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言葉にしないとわからないことページ30

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雛｢こせくん｣

いきなり隣りに座ったと思ったらこてんと頭を俺の肩に預けたA。

檜｢んー？どした？疲れちゃった？｣

雛｢こせくんいい匂いする｣

檜｢そ？香水つけてないけど｣

雛｢こせくん｣

檜｢んー？どした？笑｣

雛｢こせくん、あたま｣

質問を返してくれないし相当眠いのかほぼ目を閉じたままそれでも頭をぐりぐり俺の方に押し付けてくるから手ぐしするように長い髪の毛をとけば俺の肩にぺたーっと顔をくっつけるからかわいい。

俺と産まれた日は数日しか変わんないはずなのに年の離れた妹感があるA。なんなら本当の俺の妹たちより妹感強いと思う。

檜｢寝るなら膝にあたま乗っけな？｣

優しく肩を押して膝に寝転がるように倒せばもう夢の中らしくすやすや寝息をたてるA。ほんと赤ちゃんじゃん。

檜｢かわい｣

無防備に開かれた手を握れば、ぎゅっと握りかえしてくる昔からの癖は一生治んなくていい。

湧｢あれ、寝たの？｣

楽屋に帰ってきた湧がふにふにAのほっぺを触ってる。

檜｢疲れちゃったみたい｣

湧｢なんか檜山に甘えてんの久しぶりだな｣

檜｢確かに、最近光輝がもうすぐ舞台期間始まるからってAにべったりだからね｣

湧｢あー、それか｣

湧が髪の毛をアイロン通しながら鏡越しに見てくるから見れば、

湧｢A、黒ちゃんもそうだけどさ、黒ちゃんは自分から寂しいとか言うじゃん？でも檜山は違うじゃん、檜山自分からそういうの言わないし、案外さA寂しがってるよ、檜山とちょっと間会えなくなるの｣

ってめっちゃかわいい話に頬が緩むのを自分で感じる。

湧｢まぁさ、Aも檜山がそういう性格なの理解してるとは思うけどさAにはもっと言葉にしてやってよ｣

そう言うと、｢俺トイレ行ってくるわ｣って楽屋を出ていった湧。

俺もちゃんと寂しいと思ってるよ。

Aの頬に自分の手の平を覆えばあたたかい体温を感じる。
Aが今日も生きてくれてるんだってそう実感する。

俺はこのぬくもりが愛しくて愛しくて堪んないんだよ。

檜｢A？｣

雛｢んー？｣

目覚めたAはまだ俺の膝でぼんやり。

檜｢俺もうちょっとで舞台期間じゃん？Aの声聞きたくなったら電話していい？｣

顔を覗き込んで聞けば、寝起きとは思えないくらいの笑顔で頷くAに俺も自然と笑顔になった。

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