だれのもーん？Ⅴ (ページ1)

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泣きたいだけページ1

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雛「わくちゃん、」

すぐ察した。顔を見てあー今日はだめな日なんだなって。

湧「おいで」

腕の中に閉じ込めて、小さい背中をとんとんすれば、ぎゅっと力を込めてくる。

そういう日もあるよな。

顔を覗き込めば、もう瞳に涙の膜を張ってるのにも限らず泣かないようにと唇をぎゅっとしてる。

湧「泣きたいときは泣いていいんだよ、よくがんばったよ大丈夫、な？」

Aは十分すぎるくらい頑張ってる。

小さい身体で全部全部抱え込みすぎで、誰よりも重くのしかかってるプレッシャーだとか、俺らよりもっと厳しい人の目だとか、俺らに測り得ない重圧がこの子には重くかかってる。

だからせめて俺たちの前だけでは、Aは何も考えなくていい。そのままのAでいいんだから。

雛「っ、わくちゃんっ…」

湧「なあに？どした？」

雛「何回もNGだして迷惑かけちゃった、」

Aはちょっと完璧主義すぎるところがあるから、自分に厳しくて、ちょっとでもミスをすればひたすら自分を責める。

湧「でもがんばったんだろ？？」

雛「がんばったのにっ、うまくいかなったのっ！」

湧「がんばったってだけで十分だよ」

俺のパーカーを濡らすAの涙。度々思う。

なんでこんなに頑張ってるこの子がこんなにも苦しい思いをするんだろうって。でもきっとそれはこの子が繊細すぎるから。

全部全部、受け止めちゃうし、全部全部、背負い込みすぎちゃう。

湧「本当はもう頑張らなくていいよって言ってあげたい｣

本当に思ってる。もう1ヶ月くらい休みをあげたいくらい本当は今のこの子は限界で。でも多分この子はそんなことを望んでない。

今度は俺からぎゅっと小さい体に包むように、守るように抱き締めれば赤ちゃんみたいに声を出して泣き始めるA。

湧「よくがんばったな、今どうしたい？言ってみ？｣

雛「ぎゅーしたい」

湧「してんじゃん、もっとがいい？」

雛「ん」

ぎゅーって強く抱き締めながら頭を優しく撫でる。

この子が生きやすい世界になればいいのにな。

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