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『…俺、多分今耳赤いやんな？』
「うん、」
『やっぱせやんな…。はっず、』
ぱっと、赤くなった耳を隠すように両手で覆う小瀧は、どこか年下らしくてかわいらしい。
けど多分、そんなことを思う俺の耳も今は真っ赤。
好き同士、なんだと思う。今もまだ。
別れた時、俺たちは未来を考えた結果別れた。
お互いにアイドルというだけで恋愛すらままならないのに、それに加えて男同士で、俺達には生産性も未来もない。
だから、別れた。
けれど結局こうして今もお互いのことが好きで、先へ進めない、進もうとすらしていないんだから、俺たちはバカでくだらない。
「…俺ら、アホやんな」
『え？』
「別れたのに、こんななんか…恋人みたいな…」
『…せやな』
「…もうこの際さ、もっかい、付き合ってもええんちゃう、？どうせ別れたって、俺はもう小瀧以外好きになれんし意味あらへん」
「なんなら別れた方が未来ないかもせん。孤独死まっしぐらや、w」って自嘲気味に笑いながら小瀧を見やれば、うるんだ目と困ったように下げられた眉で、小瀧も微笑んだ。
『…俺も、もうしげ以外好きになられへん。ばっかみたいに、ずっとしげのこと考えてんねん』
「うん、」
『俺らは多分、一生公表できひん。結婚も、子育ても無理。多分、親にすら言えへん』
「…せやな」
『けど、そんなんどうでもええなって思えてまうくらい、しげが好き』
『…ごめん、振り回してばっかやな、』って悲しそうに呟く小瀧を、俺はやっぱり、守りたくて。
もう世間なんて、どうでもいいや。
メンバーも、ファンも、親でさえも、知らなくていい。
というか、知らない方がいい。
だって俺たちの関係は、自分勝手で感情論で、くだらない。
「…小瀧？」
『うん、？』
「…俺と、付き合ってくれませんか」
『…うん。お願いします』
メンバーも、ファンも、親も、おらな生きていけへんくせに、どうでもいいとかくだらない。
たわごと、ざれごと。
でも、いっか。
だってこれは、俺の人生なんやから。
俺だけの、くだらない人生。
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作者名：ゆうま | 作成日時：2023年5月1日 18時
