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「いだっ、!なにすんねん!」
『えらい憎たらしいなぁと思って』
「はぁ?先輩やぞ?年上やぞ?」
俺のデコピンを受けておでこを抑えながら、上目遣いで俺を睨みつける。
いつも通りの絡み、いつも通りのしげ。
これがいつか、もし恋人という関係へと変わったら…なんて想像するけど、残念ながら全然分からない。
そんな情景は、全くと言っていいほど浮かばない。
だけどしげはかわいくて、そんなしげを守ってやりたくて、そう思うことだけは確かだ。
『…憎たらしいくらい可愛いって言うてんねん』
「っえ、」
『……さっきの、俺のこと好きってのは、告白ってことでええの?』
「…うん。ちょっとは、意識してくれたらなって思って言うた」
『…じゃあ、考えてみる』
「うん、」
『もしかしたら俺も、しげのこと好きになっちゃうかもしらん』
両頬を包むみたいに手を当てて目を合わせれば、しげはきゅるっと目を泳がせた。
真っ赤に染まった頬も耳も首も、全てが愛おしく思えてすりっと頬を撫でる。
「…こたき、」
『ん?』
「…ドラマより何倍もいい恋愛したんねん、俺」
『…うん』
「絶対小瀧のこと、惚れさすから。ドラマなんか超えたる」
俺たちだけのドラマが、クランクインした。
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作者名:ゆうま | 作成日時:2023年5月1日 18時