短編集 (ページ37)

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「それは、ちゃう、」

『でも、』

「ほんまにちゃう…、！」

『、』

「…ごめん。大人になれてへんのは、俺の方や、」

顔を俯かせながらまた悲しそうに呟いて、それからもう一度顔を上げた時、しげは何かを決意したような顔をしていた。

「…やっぱり、まだ皆に話すのはこわい。…でも、小瀧にだけは言う。今はまだ小瀧だけに言うんでも、ええ…、？」

相当な覚悟をしてくれたのだと、しげを見てすぐに分かった。

ズボンを握りしめたその手は震えていて、いつもはキリッとした眉も下がっていた。

橙「ええよ。二人の問題なんやから二人で話し？」

黄「…俺らは別んとこ行っとくから、ゆっくり、今度はお互い冷静に話しや」

紫「俺ら聞こえへんとこ行くからなんかあっても来れへんけど…今度は大丈夫やんな、？」

濵ちゃんの心配気な表情に相反して、しげは優しい顔で「大丈夫やで、もう取り乱したりせんから」と答えた。

「でももし小瀧が気持ちの整理つかんくなっちゃったら呼ぶから、そんときは皆でフォローしたって？」

「…多分俺には、なんも出来んから」と自嘲気味に笑ったしげを心配そうに見つめつつ、「分かった、」と五人は楽屋を後にした。