短編集 (ページ36)

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シーンと、音もないのにそんな比喩をしたいほどの静寂が楽屋を包む。

それを破ったのは、やっぱり照史だった。

橙「…しげ、お前から話しや」

「え、」

橙「確かに望はヒートアップしすぎてた。でもこれは二人の仕事の話やねん。理由は言うべきやと思うで、俺は。せやから望より先に、お前が話したるべきなんちゃうかな」

「っ…」

緑「…自分でも分かってんねやろ？いくら隠したい理由やとしても、メンバーに対して「お前らに分かるわけない」って、そう突き放すのがどんだけ酷いことか」

「…ご、めん、」

「でもほんまに、むりや…。話せへん、話したくないっ…、」って、もう抑えきれていない涙が溢れる目で、しげが訴えかけた。

黄「…しげ、」

「分かってんねん、分かってる、。…けどまだ、おれにはそんな勇気ないねん、」

青「…なぁしげ。お前は何を抱えてんの、」

紫「俺らに話してや。確かに俺はアホやし、しげの言うことをすぐには分かってあげられへんのかもしれんけど、でもそれでも俺はしげに寄り添うよ、それは約束」

誰がどれだけの言葉をかけても、一貫してしげはかぶりを振った。

目も鼻先も真っ赤にして、アイドルだなんて思えないほどに顔を崩しながら泣いているその姿を守りたくて、けれど今の俺にそんな資格はなくて。

『…ごめん。俺がもっとちゃんとしてたら、大人やったらよかったんよな』なんてまた育ちだした罪悪感から言えば、しげは傷ついたように目を見開いた。