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「…お前に、何が分かるん、」
『は、?』
「理由なんか言うたって、お前も、ここにおる誰も理解なんてしてくれへんねん。誰も、分かってくれへん、分かってくれるわけない」
目に光がないとはこのことを言うんだと、熱くなりながらもどこか冷静な自分もいた。
『…結局しげは、十何年も一緒にやって来た俺らを全然信用してへんってことやな』
「はぁ…」
『なんやねん、そのため息』
「お前には分からんよ、」
『またそれ?分からんのはしげが言うてくれへんからやろ』
「…言うたところで、分かってくれるわけないやん、」
『そんなわけ、』
「お前に分かるわけないっ…!」
『お前に分かるわけないねん…!』とまた念押しのように叫んだしげの目は水気を含んでいて、声はひどく悲しげだった。
しげのあんな顔、今までの人生で初めて目にした。
こうしてまだしげの分からないところがある以上、しげの言う通り、理由を言われても俺は理解してやることが出来なかったのかもしれない。
俺はまだ、皆みたいに大人にはなれない。
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作者名:ゆうま | 作成日時:2023年5月1日 18時