短編集 (ページ29)

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本当はずっと、俺も好きだったのだと思う。

自覚したのこそついさっきだけれど。

他の誰でもない、小瀧の隣でだけは安心してよく眠れて、たまにときめいたり、モヤモヤしたり、会えないと寂しかったり。

これを恋と呼ばずして、なんと呼ぼう。

「…俺もお前のこと、好きやで」

『え…？』

「さっきな、小瀧がおらんなる夢見た。真っ暗な中に置き去りにされて、あぁもう、小瀧がおらんなら生きんでええかなって思った」

『そ、んな……、』

「…重いやろ？やけどさ、そう思うくらい、もう俺にはお前しかおらんねん」

「俺、お前のせいで弱くなってもうてんぞ、」なんて責任を押し付けるように言って、けれど自分で言っておきながらなんだか恥ずかしくて、小瀧の首筋に顔を埋めた。

だけど小瀧だってさっきまで泣いていた情けない顔を見られたくないだろうから、お互いwin-winだ。

『…ずるいな、俺』

「なんでや」

『弱みにつけ込んだみたいなもんやろ、』

「んなわけないやん。元々小瀧の隣でしか寝れんかった時点で、お前のこと好きやってん。…知らんけど」

『知らんのかい。そこは自信持てや』

髪を乱雑にぐしゃぐしゃっとされて、だけどその手の感触が、温もりが心地よくて目を閉じる。

今なら、ぐっすり眠れそうだ。

『…眠なってきた？』

「うん、」

『よかった。もう今日は寝よ、疲れたやろ？』

「ん、」

もううとうとし始めてしまっている俺を見て、小瀧は優しく微笑み、軽々しく俺を姫抱きした。

小瀧の温もりと匂いに包まれながら、今度は気持ちよく、意識を手放した。