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「小瀧はさ、俺に抱きつかれんのとか嫌ちゃうん？」
『全然。むしろなんか愛おしく感じんねんな』
「うわ、それなんか前も言うてたよな」
『あー、雑誌かなんかで言うたっけ』
また「きっしょ」と返せば、『はぁ？』なんて真顔で頭を叩かれる。
それがなんだか面白くて、「いてっ」と笑顔で小瀧の方を向けば、それにつられて小瀧も笑った。
『あ、そういえば、俺今週大阪でロケあって、明後日から3日くらい来れへんねんけど大丈夫？』
「そうなん？」
『うん。夜とかは電話できると思うから、必要やったら気にせんと電話してな』
「分かった…、」
『…そんな顔せんといてや、行きたなくなるやん』
『このっ、』なんて心配そうに眉を下げながら頬を摘む小瀧に、俺の眉間にシワが寄る。
ドラマも映画も、どちらも大詰めになっていて、明日から連続的に演技の仕事が入っている。
これまでよりもハードスケジュールになるというのに、それに加えて小瀧も家にいないなんて、俺はどうなってしまうのか。
そんな恐怖で涙が滲みそうになって、慌てて目を閉じた。
『しげ…、』
「…大丈夫。頑張るから、俺」
『無理はせんといてや。ほんまに電話ならいくらでも出るから』
「ん、」
ぎゅっと優しく引き寄せられて、おまけに頭をぽんぽんと撫でられる。
本当はそれがひどく安心して、けれど何処か落ち着かなくて、でもそんな気持ちを隠すように「明日もすんのに、」なんて笑った。
『ええやん、何回しても。3日分じゅーでん』
「ふw」
まるでロマンスドラマみたいなセリフに、また優しく引き寄せられた身体に、少しだけ、いや、結構ときめいた。
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作者名：ゆうま | 作成日時：2023年5月1日 18時
