短編集 (ページ21)

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「俺な、小瀧が隣におると寝れるねん」

『え？俺？』

「そう。なんでかは分からんけどな」

『そうなんや…』

「…せやから、今から小瀧のこと頼ってもええ？」

言いながら、情けなくも声が震えた。

年下に頼るというのは、ちょっとだけ勇気のいることだ、特に男にとっては。

けどそんな勇気を出してまでも、小瀧に頼りたいと思うのは、

『ええよ、なんでも頼って』

「…俺と一緒に、住んで欲しい」

『っは！？』

「ドラマとか演技の仕事の撮影期間だけ、定期的にとかでもええねん。やから住むってよりは、泊まりに来てもらう感じなんやけど…、あかん、？」

伺うように見つめると、小瀧は『え、いや…、あー…』なんて混乱の色を示し、何かを躊躇うように口を噤む。

あぁこれ、断られんのかな、なんて本能的に思った矢先、楽屋の扉が開きスタッフさんから「5分前です」なんて声がかかった。

「…別にすぐやなくてええから、考えといて」

『…うん』

我ながら少し、押し付けるような言い方になってしまったかもしれない。

でもきっと、小瀧なら嫌な時は嫌って、そうはっきり言ってくれると思っている。

だからちょっとだけ、わがままくらい言わせてよ。