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「んぁ、?誰やろ…」
『ほい』
「ありがと」
こんな体制なのだからそらそうだが、スマホを取りづらそうにしていたので取ってやれば、画面を確認したしげは「あぁ、なんや、照か」なんて先程の甘ったるい声とはまた違った優しい声で呟いた。
「もしもし。なにぃ?…明日?なんかあるん?…あー、ええやん。何時?」
声色は恋人とのそれではなく、友達とのそれ…まぁ少しそっけない感じの声になっているのに、体制も俺との距離もそのままなのだからちょっと面白い。
指でちょろちょろとうなじを触られるのがこしょばくて、ぺちっと頭を叩けばしげはにかっといたずらっ子のように笑った。
ほんまこいつ。
「…あー、その時間なら場所によっては行けるわ。どこ?…いつもの?あぁ、おっけ、ほなら行ける」
「じゃあまた明日な。はいよー」なんて電話を切った途端、また甘い声に戻ったしげは、「さっきのこしょばかったぁ?w」とけらけら笑っている。
『当たり前やんけ』
「んふw 明日ひかると飯いってくる」
『ん、楽しんでな』
「うん。…あぁ、めっちゃねむなってきた、」
『ほんまや、それもう目ぇあいてへんやろw』
「あいてんで、ほら!」
目をガン開きにして、ほぼゼロ距離ともとれるくらいまで顔を近づけてくるしげ。
そのふざけた顔がなんだかムカついて、ちゅっと唇にキスをすれば、しげは顔を真っ赤に染めてはくはくと口を動かした。
「おまっ…、もぉ…、こたき王子様やん…」
『なんやねんそれw』
「…なぁ、もっかい、」
きっと自分がかわいいことは分かっている。
わざわざ腰を丸めて、上目遣いになるように見上げてきたしげは、俺にお強請りをしてから、焦らす俺にもう我慢が出来ないとでも言うように唇を重ねた。
『…かわい』
「おれかわいい?」
『悔しいけどな』
「なんで悔しいねん!絶対一言余計やろ!」
ケラケラと輝く笑顔で笑うしげは、やっぱりあざとくて、やっぱりかわいい。
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作者名:ゆうま | 作成日時:2023年5月1日 18時