短編集 (ページ14)

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『…なんでもええんちゃう？』

「へ？」

『夢物語のなにが悪いか、俺には分からん』

「いや、悪いってことはないけど…なんか、皆が求めてるのってそういうんじゃないんかなって…」

ぼーっとパソコンの画面を見つめながら言うしげが何を思っているのか、俺には分からない。

けれど身勝手にも、今しげが創りたいものは夢物語なんじゃないかと、そう思った。

『俺はな、しげの創る世界が好きやねん』

「え…？」

『夢物語でも実体験でも、しげから出てくる言葉が、表現の仕方が好き』

「…うん、」

『むりやり世間に合わせたもんやなくて、しげの頭の中の世界をさ、共有して欲しいなって思うよ』

『世間ウケとかそんなん気にせんでええねん。これからもしげの世界創ってや』なんて微笑みかければ、しげは照れたように笑った。

「お前少女漫画の主人公みたいやな」

『まぁそやな、俺レベルのイケメンになるとな』

「うっざw」

一通り笑ったしげはまたパソコンに向かって、今度は気難しそうな顔ではなく、どこか楽しそうにキーボードをカタカタとしていた。

その横顔は本当にキラキラと輝いていて、俺の守りたいものだった。

『…綺麗やな』

「へ？何が？」

『全部』

「え？w」

君も、君が創る世界も。