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ラ「今回のテーマは闇となっていますが、小瀧さんと重岡さんにとってのトラウマって何かありますか?」
「とらうまぁ?なんやろなぁ…」
『、トラウマねぇ…』
にこやかな笑顔を浮かべるライターさんから放たれた質問に、一瞬よぎったしげとの過去。
一度よぎれば頭の中からそれは消えなくて、それ以外にもトラウマなどたくさんあるはずなのに、もうそれしか思い浮かばない。
『…結構前の話なんすけど、友達を傷つけたというか…悩ませてしまったんですよね。俺的には仲良うやってたつもりやったんすけど、そいつ的には色々悩むこともあったみたいで…。それを気づいてあげれんかったのがトラウマというか、それが今でも尾を引いてて、怖くて人間関係あんま踏み込めないんすよね』
ラ「なるほど。気づかない間に相手を悩ませてしまっていたって、よくあることですよねぇ…。重岡さんはいかがですか?」
「俺はぁ…小瀧かな」
『え、俺?待って、俺なんもしてへんって!』
「くふw ちゃうって。俺ねぇ、ちょっと前にね、小瀧に足枷って言ってもうたんですよ。その時は感情的になって言うたけど、よう考えたら言葉選び間違えたなぁって。その時の小瀧の傷ついた顔が忘れられんくて、またあの顔させてもうたらって考えると怖いっすね」
「あん時はごめんなぁ?」って、ひどく申し訳なさそうに、しげが俺と目を合わせる。
別にお互い、たぶん意識していたわけでは無い。
けれどこうしてしっかりと目が合ったのは久方ぶりな気がして、割り切っていたはずの俺の心は、キュッと握りつぶされたように苦しくなった。
言葉選びを間違えたも何も、足枷だったのは事実だ。
間違いなく、あの時の俺の存在は、彼にとって重荷だった。
『…んな事あったっけ?忘れたわぁ』
「…そっか」
ラ「では次の質問まいりますね。今までお二人が共にしてきた中で、一番の思い出は何かありますか?」
「んー。ムズいっすね、なんやろ」
『意外と俺たち仲良いんすよねぇ。色々あって迷うな』
口から出た、とんだ嘘っぱち。
別れてからの一年ちょっと、プライベートで二人きりなんてことは一度もない。
交際前も特別仲がよかったわけでは無いし、交際中に行ったデートも楽しかったのは俺だけだ。
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作者名:ゆうま | 作成日時:2023年5月1日 18時