吸収4% ページ5
ツグと別れ、試験会場に入る。
周りの緊張を吸収してしまったかのように、全身が凍りついた。
こういう時は周りをじゃがいもだと思えばいいんだったかな……
｢緊張しているようだけど大丈夫かしら？｣
ゆっくりと深呼吸をしていると、黒髪の女の子がケロケロと話しかけてきた。
｢っはい……すみません、大丈夫です｣
じゃがいもフィルターを外して軽く頭を下げる。
｢あんまり緊張されると、こっちにも移るんだよね｣
やれやれ、と呆れたように言うのは金髪でモデルさんのような顔立ちの男の子。
もっともだ。と私が謝る前に、私の肩を叩いて行ってしまった。
別の人にも同じようにしていたから、触れる必要のある個性なのかな。
｢あまり気にしない方がいいわ。
私、蛙吹梅雨、梅雨ちゃんと呼んで｣
金髪さんの言葉を気にしているように見えたのか、慰めの言葉を言ってくれる梅雨ちゃん。
｢放収ナギです。よろしくお願いします｣
｢えぇ、放収ちゃん。お互い頑張りましょう｣
梅雨ちゃんの笑顔に緊張が緊張が和らいだ。
｢はい｣としっかり頷くと、開始を待つ。
｢スターーーーートォォオオ！｣
突然鳴り響いたコールに遅れを取りながらも早いうちにかけ出すことが出来た。
私の吸収は触れた物体のエネルギーを吸収するというもの。
例えばこういうロボットであれば……
｢吸収っ｣
動力のエネルギーを吸収する。
もちろん上限はあるから、なるべく動力の少ない1Pを倒していく__
のだが……つい、手を伸ばしてしまった。
試験と言えど戦闘なのだから、吹き飛ばされるのも当たり前なのに。
他人の心配をしている場合じゃないのに。
｢大丈夫ですか？｣
つい、手を伸ばしてしまったのだ。
私の個性は、体が触れた物体の持つエネルギーを吸収するというもの。
触れているイメージがなければ、つまり意識をしていなければ発動しない。
このとき私は、迫ってくる太い鉄塊に気づいていなかった。
激痛が全身を駆け巡る。
せめてぶつかる時の衝撃だけでも……と揺れる頭を無理に動かした。
トンっと吸収しきれなかった衝撃が肩をつ伝わり、ゆっくりと顔を上げる。
そこには絶望の権化とでも言うべきだろうか。
鉄の装甲を妖しく光らせた0P。
この場で最も攻略が難しい3Pすら、ちゃちなおもちゃに見えてしまうくらい、圧倒的な凶暴さを持っている。
振り上げた腕は無作為に振り下ろされ、その度に人が宙を舞った。
何とかしなければ。
また、同じことに……。
続く (更新停止中)
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案内人(プロフ) - たまきさん» ありがとうございます！至らぬ点は多々ありますが、楽しんで頂けるような物を作りたいと思ってますので、応援よろしくお願いします！ (2020年1月4日 16時) (
レス) id: e48f38364b (このIDを非表示/違反報告)
たまき - コメント失礼します！姉と妹の両方変換可能でどちらにするか迷ってしまいます！とても面白いのでこれから更新頑張ってください！早く読みたい笑 (2020年1月4日 15時) (レス) id: e45bb242b7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：案内人 | 作成日時：2020年1月4日 15時
