44.私の血 ページ44
〆．
病院からの帰り道。
傷口が開いてしまって、結局おでこを縫うことに。
言ってその場でやってくれた。
痛み止めを貰って、家に向かう。
誰もいない、あの家に。
大毅くん、はやく越してこないかな。
ふらふらするからゆっくり歩いていると、誰かに肩を支えられた。
「A、」
「……大毅くん！？」
ずっと会いたかった人が、目の前にいる。
「も、びっくりしたやんか、家におらんから」
「あ………え、でも今日は会えないんじゃ…？」
「ごめんな、どうしても会いたくて」
切なげな表情。
「………私も、会いたかった」
大毅くんは私のおでこのガーゼを見て、泣きそうな顔をした。
「A、ここ怪我してへんかったやん。何があったん？」
「………覚えてるんだ」
「Aの体にできた傷、全部覚えてる。やって、俺のAやもん。Aのことは、全部知ってたいから…」
せっかく合った目も、すぐ逸らしてしまう。
大毅くんは、どうしてここまで私を愛せるのだろう。
「帰りながら、話す」
「ん」
私の言葉に頷いて、大毅くんは指を絡めてきた。
同じ家に帰れる。
きっと今夜も私たちは体を重ねて、さらに愛を深めるんだ。
「あのね、私、一分一秒……大毅くんと離れたくないんだと思う」
「………そんなん、俺もや」
「大毅くんと会えないのが苦痛で……。今日、ちょっと頭痛くてさ。こんな時、大毅くんがそばにいたらなって」
大毅くんの歩幅が、いつもより大きい。
いつもは私に合わせてくれる優しい人だから、動揺しているんだろう。
「そしたら……イライラしてきたの。なんで大毅くんは目の前にいないの、なんで大毅くんの声が聞けないの……で、壁に頭打ち付けて。何やってんだろうね」
ははは、と乾いた笑いをこぼす。
「………血、出た？」
「出たよ。あ、拭くの忘れてた……。取れなかったらどうしよう」
「それならそれでええよ。俺はそれを見て、またAを愛しく思えるから」
大毅くんの発言は、少し狂気じみているのかもしれない。
やがて家に着き、私は急いで壁の血を拭き取ろうとした。
「待って」
「え？」
血は乾いてる。まあそうか、何時間も前のことだもんね。
大毅くんは指でなぞり、そこに舌を這わせた。
「だ、大毅くん？」
「もったいないなぁ……Aの血やって、俺のもんやのに…」
〆．
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恋音(プロフ) - 完結おめでとうございます!!!もう、ハラハラドキドキでした！(笑)anotherstoryもみてみたいなぁ…なんて思っていまして…。(笑)これからも頑張ってください!! (2018年8月14日 11時) (
レス) id: 719aff63d3 (このIDを非表示/違反報告)
有岡毅菜/ありきな(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ほんまにこの小説、作者様のファンでした！（笑）終わってしまうのがほんまに名残惜しいです（涙）しげちゃんのへの私の愛がより一層深まりました！こんな素敵な小説を書いてくださりありがとうございました！これからも頑張って下さい！ (2018年5月7日 21時) (レス) id: 307b6fc2e6 (このIDを非表示/違反報告)
優衣(プロフ) - この作品好きでした！重岡くんと狂愛の組み合わせが最高に良くて、最後の心中も私の中ではスッキリした終わり方で満足です！完結お疲れ様でした (2018年5月7日 0時) (レス) id: 53d8d3bdbc (このIDを非表示/違反報告)
しらたま(プロフ) - 完結おめでとうございます！バットエンドのようなしかし、二人にとってはメリーバットエンドな展開最高でした！！ 第三者目線のアフターストーリーも見て見たいなあと個人的に思います(*'▽')笑 これからも素敵な作品を楽しみにしています応援していますね！ (2018年5月6日 20時) (レス) id: 289b961369 (このIDを非表示/違反報告)
詩織(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます(*´-`) 重岡くんと狂愛というイメージがマッチしすぎていて、この作品が本当に大好きです。話を読み進める手が止まりません。お忙しいとは思いますが、これからも無理せず更新を続けてください(*´-`)/！応援しています！ (2018年1月16日 23時) (レス) id: c157ef172e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はゆな
| 作成日時：2017年11月1日 0時
