君の愛で真っ赤に染めて

31.嫌な予感 D ページ31

〆．



朝起きてケータイを見ると、『風邪引いたからしばらく会えない』……と、Aからメッセージが届いていた。



そんなん。



会いに行くに決まってるやんか。



むしろ、風邪引いたからこそそばにおらなあかんやろ。



きっとAは大学を休むから、俺もそうしよう。



必要そうなものを買いに、コンビニへ走った。



最近のコンビニはほんまにいろんなもの置いてるわ。



Aの食べてくれそうなスイーツもカゴに突っ込んで、会計を済ませてあの家へ全力疾走した。



合鍵は当然持ってるから、難なく中へ。



問題は、Aの部屋に鍵がかかってたこと。



玄関はともかく、部屋にまで鍵がかかってるやなんて。



何かを隠そうとしてる？



「A！！風邪大丈夫なん？なあ、……」



今すぐに君の姿が見たくなって。



でも反応はない。



寝てるなら、無理に起こさんとこう…。



とりあえずリビングで、買ってきたものを袋から出した。



スイーツは冷蔵庫へ。



お粥を作ってからもう一回起こしに行くことに決めて、俺はキッチンに立った。



………お粥ができたのは、それから30分後。なかなかいい感じやない？



「A、起きてー？」



俺が作った、って言うたら、どんな反応するかな〜。



わくわくしながらAの部屋のドアをノック。



………反応はない。



寝てるだけ……寝てるだけ……。



たまらなく嫌な予感がして、持っていた小銭で部屋の鍵を開ける。



うまく形が合うから、マイナスドライバーみたいに簡単に鍵は開いた。



「具合どう……っ、A？！」



ドアを開けて、広がるその光景に頭が回らんくなる。



手首から血を流すA。床には赤い水たまりができていた。



「A、どうしたん、なんでこんな……っ」



死んでる？まさか。



Aのまぶたがゆっくり開くのを見て、どれだけ安心したやろうか。



「死のうとしてたん……？なあ、」



情けないほどに声が震えて、泣きそうになった。



Aが死んだら、俺はもう、生きる意味を失うのに。



Aは何も答えてくれんくて、恐怖が募る。



だけど、あまりにも血が美味しそうで。



思わず舌を這わすと、Aが顔を歪めて、それすらも愛しくなった。



「とにかく手当てするわ、リビング行こう」



近くに落ちてたカッターを慌ててAの手の届かない所へ置き、リビングまで連れていく。



Aの体は冷たかった。



〆．

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