姉様と呼ばせて【後編】

60.届く ページ13

見つけた。

小さな背中を見つけた。背中を丸め、顔を埋めてる彼を。


はやく、ここから逃がさなければ…。

それだけを考え、伊織様の元へ行く。



伊織「またあんたか…。追いかけてくるなよ｣

貴「顔を上げなくても私だって分かるんですね。

私は絶対に貴方から離れませんよ。

何処までもお供いたします。｣



泣いてたのか、声が掠れていた。
伊織様の目線に合わせてしゃがむ。
それでも顔を上げようとしなから、無理矢理にでも顔を上げさせた。



伊織「なにする！！やめろっ、みるなっ！！｣

貴「泣かないで。怖がらないでください。｣



大丈夫、大丈夫と背中をさする。
こんなまだ10にもならない子供相手になんてことをするのかしら。



伊織「あんた、いったい…｣

貴「名前は言えません。けど、いつも貴方のお側に居ますよ。

さて、私は行かなければ。振り返らず、村へと行ってください｣



大太刀が殿の方に向かわないでよかった。
村に戻るように勧め、刀を抜く。
いつ何処にいるかも分からない。

けれど、この御方のため。

私は戦う。





伊織「っ、何言ってんだよ！俺はあんな村になんかもどらねぇ！！｣


貴「言うことを聞いて下され！！お願いします、このままでは貴方様がっ！！｣




軽く口論になった時、後ろの方から殺気があるのに気づく。
嫌な汗が流れた。

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