姉様と呼ばせて【後編】

58.貴方の元へ ページ11

はぁ、はぁと息が上がる。
口の中いっぱいに鉄の味が広がり、顔を顰めた。
村の方へ向かっていった伊織様を追いかけた。


村を駆け走る伊織様に村人達は石を投げたり、罵倒を浴びせてる。




貴「っ…！何をする貴様ら！！やめなさいっ！！！｣



声を上げるばかりで何も出来ない自分に腹が立つ。
それでも走っていく伊織様をまたしても追いかける。




加州「どうしたのAさん！！｣


貴「いやっ！離してくださいっ！伊織様っ！まって！！！｣



手を掴まれ、無理やり止められる。
伊織様を追いかけなくては…！！



鯰尾「なんの騒ぎですか！｣

加州「分かんない。でもAさん、いつになく慌ててるんだ｣



鯰尾殿と加州殿が話してる間、握られた手の力が緩まった。
その隙を見て思いっきり手を振りあげた。


申しいけございませぬ、でも私は伊織様の元へ行かなければ！



加州「っ！Aさんっ！もうっ！鯰尾追いかけるよ！！｣

鯰尾「了解しました！！｣



伊織様が、向かった方へと走り出した。
あちらに向かったということは、昨日の森！！
雛たちが散策をしている方だわっ！！



貴「同じことを繰り返すなんて絶対に嫌ですから…っ！！｣







＿＿＿＿＿＿＿＿＿何度だって貴方の元に

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