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あぁ、どうする？どうやってこの男から逃げればいい？
分からない、私じゃ思いつかない。さっきからどうやったって私が死ぬビジョンしか見えない。なんで今日はこんなに死にかけなきゃいけないの。
拳銃だって取上げられて、右肩は撃たれて負傷。助けだって呼べないしこの口ぶりからしてチーノにはまだもう1人仲間がいる。
―――無理だ、無理だよ、こんなの。勝てっこない。
きっと今私は酷い顔をしているんだろう。だってその証拠に、目の前のチーノが、本当に嬉しそうに笑っているから。
優しくて親切な青年？人を殺すのを嫌がる善人？…馬鹿言え。チーノはそんな言葉とは真逆の、最悪の詐欺師だ。大嘘つきだ。優しさなんて微塵もない。
そう、詐欺師。……………詐欺師？
「最後に言い残したいこと、ある？俺優しいから遺言聞いたるわ！」
『ｯ､』
ふと、一瞬何かを思い出しかけた気がした。何だっただろうかと記憶を辿ろうとするけれど、それより先にチーノの発した言葉で現実に引き戻される。
そろそろ私の短い人生が幕を閉じようとしているのだといやでも実感させられて、ひぐ、と引き攣った様な悲鳴が盛れた。
『ゆい、ごん…』
「そ！何も言わずに死ぬなんて嫌やろ？せやから1つくらい恨み言聞いてあげようかなって！いやー、やっぱ俺優しいわ！わざわざ殺すの待ってあげてんねんで？感謝しろー？」
優しいなんて、どの口が。
そう言いかけて、慌てて口を閉じる。口は災いの元。ただ死を早めるだけだ。
恐らくこれが最後のチャンス。選択を間違えれば確実に私は殺されるし、助からない。
賭けに出るか、諦めるか。
つぅ、っと私の背に冷や汗が流れた。
涙すら流れない。恐怖の限界値を超えると涙さえも流せなくなるのだと、はじめて知った。
「ふふ、」
チーノが笑う。
無謀にもだんまりを決めることだ少しでも長く生きようとする私は、彼にとってさぞ滑稽なものだろう。
だから何も言ってこないし、早く言えやと無言の圧をかけてくる。
ぐっと唇をかみ締めて、私も覚悟を決めねばならないと内心震えた。
…覚悟を決めろ、A。
ここで間違えればただの無駄死に。死にたくないなら醜く足掻け。
笑え。
常に笑ってるシャオロンのように。
相手を馬鹿にする嘲笑を顔に貼りつけろ。
―――笑え、私。
『…じゃあ最後に1つ。…優しい青年のままだったら人魚の涙の在処、2つも教えてあげられたのに。あなたって本当に馬鹿だなぁって』
大丈夫。怖くないよ、私。
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m(プロフ) - 久しぶりに読んだらまたハマってしまいました！！ (10月27日 3時) (
レス) @page14 id: 5ed95a932c (このIDを非表示/違反報告)
ラテ。(プロフ) - 更新お疲れ様です。相変わらず物語がかっこよく言い回しも素敵で何度読んでもドキドキとワクワクを味わえる素敵な作品です。次の更新を楽しみにしています。 (2022年5月9日 16時) (レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
Roin(プロフ) - 更新嬉しいです！！お疲れ様です！ (2022年5月8日 19時) (レス) @page14 id: e30e1010c9 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます！更新遅くなって申し訳ありません。待っていてくださって本当に感謝してます！ (2022年5月8日 17時) (レス) id: 3b18e92123 (このIDを非表示/違反報告)
さくま巳兎(プロフ) - はじめまして。この作品すごく面白く見入ってしまい、何度も読んでしまいました！これからも応援しています！ (2022年4月12日 20時) (レス) @page11 id: 6464a1c376 (このIDを非表示/違反報告)
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