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私が1番初めに入ったのはパン屋だったであろうこぢんまりした建物だった。
扉を押し開ければ袋詰めされたパンが大量に商品棚の上に鎮座しているのが確認できる。とりあえず1番近くにあったクロワッサンを片手に取り匂いを嗅いでみると、やはり腐っているような様子もなく問題なく食べられるだろうと判断できた。
適当にいくつか袋をカバンに詰める。結構な量を詰め込んだのにカバンの質量が変わったように思えないのは、ゲームの仕様というものだろうか。
『…綺麗なお店』
一通りやるべきことを終えて、ぐるりと店内を見渡してみる。このパン屋は現実世界ならばお世辞にも綺麗とは言えないようなお店だろう。だけど血も遺体も見受けられない場所なんて本当に久しぶりで。それだけで綺麗だと言えるのだから、私もだんだんこの世界に毒されてきているのではないかと少しだけ怖くなった。
鞄の中にはナイフを隠して、ピストルホルダーには一丁の拳銃を。どちらも1度も使ったことはないとはいえ、他人の拳銃で人を殺したことはあるのだから自分は綺麗なのだとはっきりとは主張できない。
部屋の中には血が飛び散っているのが当たり前で、歩けば1人や2人の遺体が転がっていても不思議ではない。そんな世界に慣れきった暁にはどうなってしまうのか。想像だってしたくない。でもそれに慣れた時は、きっと人間として大切なものを失った時なのだろうと心の奥底の私が言った。
―――カランカラン
そんなふうにぼぅっと空を見つめる私の耳に、突如聞きなれないベルの音が聞こえてきた。
私の肩がびくりと跳ねる。
視線が店内から店の扉へと切り替わった。
「ひぃ、お腹すいたぁ。ご飯ご飯ー！」
『……えっ、』
いきなり店の扉が開かれ、見知らぬプレイヤーが店内に入店してくる。
そのプレイヤーも入店してすぐに顔を上げて、勿論私もそのプレイヤーを見つめているわけで。
私たちの目がバッチリとあって、お互いにひゅっと息を飲んだ。
―――嗚呼、今日は厄日なのだろうか。
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m(プロフ) - 久しぶりに読んだらまたハマってしまいました！！ (10月27日 3時) (
レス) @page14 id: 5ed95a932c (このIDを非表示/違反報告)
ラテ。(プロフ) - 更新お疲れ様です。相変わらず物語がかっこよく言い回しも素敵で何度読んでもドキドキとワクワクを味わえる素敵な作品です。次の更新を楽しみにしています。 (2022年5月9日 16時) (レス) @page14 id: ea61eec359 (このIDを非表示/違反報告)
Roin(プロフ) - 更新嬉しいです！！お疲れ様です！ (2022年5月8日 19時) (レス) @page14 id: e30e1010c9 (このIDを非表示/違反報告)
マーシャ(プロフ) - たくさんのコメントありがとうございます！更新遅くなって申し訳ありません。待っていてくださって本当に感謝してます！ (2022年5月8日 17時) (レス) id: 3b18e92123 (このIDを非表示/違反報告)
さくま巳兎(プロフ) - はじめまして。この作品すごく面白く見入ってしまい、何度も読んでしまいました！これからも応援しています！ (2022年4月12日 20時) (レス) @page11 id: 6464a1c376 (このIDを非表示/違反報告)
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